記者になりたい! (新潮文庫)
「記者になりたい!」池上彰(図書館)を読む。面白い。
2010年視聴率男、池上彰NHKに入社してから「週刊こどもニュース」時代までを振り返る。やや語りかけ口調。解説は麻木久仁子
本書をうがった見方で小説のように筋を探して読むとしたら以下のようだろうか。
記者として人死にが出ている事件をニュース原稿として書き、それがメディアを通して読まれる事に大きな喜びを感じてしまう(起)。感覚は どんどん鈍磨していく(承)。その総決算が「週刊こどもニュース」と池田小・児童殺傷事件が出会うシーンだろう。この悲惨なニュースをどう目の前の子供に伝えるべきなのか。いっそ扱わないべきなのか?という迷い(転)。
結論(結)↓。
事件の概要だけ伝え、あとは子供に投げて率直な感想を聞いて応える。最後は「大人は子供たちを守る」(又は守ろうとしている)というメッセージを伝える。
まあ 小説として読むのに無理があるのだが、ストーリーを作って勝手に感動してた。
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ほかトリビア
・キャスターとは何か? NHKでは記者出身者が自分の裁量でニュースを選び、自分の声で伝えるが、自分の意見は言わない。アナウンサーと違い、記者の文章を視聴者にわかりやすく修正することができる。「民放のキャスター」がしたり顔でニュースにコメントしている事に著者は批判的なのだが、久米宏批判ととるべきか。
著者はキャスターになってから、顔出しの弊害*1に悩まされ、ノイローゼになりかかったというエピソードも。 記者になりたかったのであって、テレビに顔を出す仕事をしたかった訳ではないというストレス。今から考えると意外だ。
・深川通り魔殺人事件で犯人の下半身だけパンツだった理由は警察が凶器を隠し持っているか調べる為にズボンを脱がし、そのままで連行してから、との事。なんか俺のイメージの中では下半身パンツで包丁を振り回してた。
・羽田沖 日航航空機墜落事故。離陸して機長がすぐに逆噴射して墜落させた事故だが、着陸直前から機長の頭の中では「いね、いね」と声がしていたそうである。「いね」とは「死ね」の方言。

*1:電車で写メを隠し撮られるとか、酔っ払いに絡まれるとか、家族が一緒に行動したくなくなるとか。