「悪魔のリドル」最終回


タグ「リドルなら生きてた」がニコ百
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茶番アニメと指差されても反論は難しい。
その通り茶番である。
しかし、血Cと並ぶ茶番アニメの最高峰ではないか。
この"いくらでも深読みできる素材"を前に茶番と切り捨てて思考停止するのは勿体ない。
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ラストエピソード前に、ついったで呟いたのだが
https://twitter.com/perfectspeIl/status/475926594674913281

・千足-柩の関係は そのままトカク-ハルの関係だということ。そして千足と柩は相撃ちに似た展開で両方死亡したBAD ENDだった、と。

この事を製作者側が視聴者に思い出して欲しいと願ってる、と俺は推測した。最低限として。
汝良き視聴者であれ。
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で、割と多くの視聴者が予想した通りに11話で
トカクvsハル
になるのだが、実はニオによる幻覚で
偽トカクvsハル
も多く予想されていた。
(ニオとハルの握手シーンの禍々しさから当然の予想)- a
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結局、トカクの
「今までの献身は強いられたものでなく、自発的である事を証明する為にオマエコロス」
a の演出を裏返した行動で観る者を驚かす。
流石トカクさんありえない。
もう、これは"元々正しかったけどトチ狂って悪役になってしまった者"のロジックだ。
ほんとトカクさんありえないっす。(出ニオ感)*1
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ここで物語に対するコペルニクス的転回を求められる。
心中エンドを良し とするなら、トカクの行動も認めるべきだろう。
一時の激情を優先して、損得は勘定しない行動を。
最強厨のお嬢様もそうだったが、基本 キャラ達は事務的ではなく非常に観念的である。
子供じみている。
(だからこその青春暗殺ドラマといえよう)*2
事務的だったのは、職業的な暗殺者だった伊介様くらいで、だからこそ彼女は報酬にファンタジーめいた期待をせず、(重要人物を暗殺したなりの)普通の対価を要求した。
しかし、主役に求められる資質を考慮すると やはりトカクさんありえん。
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ここ(トカク暴走)をキレイに終わらせるのは
"千足-柩"のような心中エンドか
ハルがトカクを返り討ちにして、"ハルは生き残ったがプライマーではない→普通の生活を送る"あたりか。
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後者はプライマー能力で、「トカクを都合良く操り 普通の生活をゲットした」と読み取る事もできるのだが、それを読み取らせる事も計算の内で表向きは「ハルは結果的に幸せに、トカクは結果的に良い行いを」と物語をしめる事ができる。(トカクは"因果応報的に死亡"でも"運よく生存"でも構わない)*3
が、以上の2案は辻褄合わせ優先の駄案だし、赦しのテーマを補完できなくなる。
トカクさん殺しきりました暗殺処女卒業! プライマー能力なんて無かったんや- b
一時の真実に拘って全てを台無しにする の方がキレイはキレイだ。
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通常なら11話でストーリーは完結して、「どっちだったんだろうね」と仲良く手を繋ぎ、少しシニカル感を出すポイントで踏みとどまる。
そのポイントから更に突き詰めて b まで至ってしまう、狂気の"水清くして魚住まず"まで至るのは題名どおり『悪魔のリドル』といえよう。
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自ら駄案とした2案が穏当なのは、「行動に対する罰と報酬」の物語性に沿っているからでもある。
動機はどうあれ、殺人行為を犯そうとするトカクには罰を、と『物語』に期待するからである。
殺してしまい後悔した、という内罰ではなく、トカク自身の死(又は失敗)が『物語』として求められる。
そう。ここでいう物語とは因果応報である。期待される"原因と結果の紐づき"だ。
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例えば、"千足-柩"は心中と視聴者から認識されていた。
これは視聴者だけの思い込みでなく、そう受け取られるよう演出されていた。
経過は色々おかしいが 結末は心中モノという物語の一典型として納得できるし、
悪魔のリドル」シリーズとしても
6話で"メインキャラも死ぬ事がある"とストーリーに緊張を持たせ、最後の"トカク-ハル"の関係性にもフラグをたてる必然の演出である。
これは「死のうと思った者には死を」という"原因と結果の紐づき"で、動機と結果が直結する『物語』世界なら、呼吸をするようなスムーズな帰結であろう。
が、自殺を試みた人が医療により救命される事は稀では無い。物語的には格好つかなくても日常の風景の1つである。(「ロミジュリは その後助かりました」ではシェイクスピアは干されていたかもしれない)
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(何が言いたいのか自分でも焦点がズレてきそうだが)
つまり、千足-柩は物語の要請により6話〜11話まで死んでいたのであり、同じく物語の要請により12話で生きたのである。byシュレディンガー
12話前半で"千足-柩"の再現(半分)を行ってしまえば、彼女らは死んでる必要は特に無い。
それどころか、12話後半で「奇跡的に助かったハル」と話を裏返すので、生き返って当然といえよう。
冗談ではなく『人間は結構丈夫』というのは裏のテーマなんじゃないかと推察してる。それは『赦し』と調和するから。
諦めではなく、バイタリティ(生命力)ありきのポジティブな『赦し』で最後を閉じたかったのであろう。
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茶番ではある。
取り返しのつかないロスも人生ではありうるし、それゆえ世界は計算で満ちている。
若者の一時の感情に何の価値があるのかと大人はせせら笑いたい。*4
(全てをぶち壊す)偏狭な思い込みに殉じる狂気を称賛する茶番アニメだと。強引なハッピーエンドだと。社会規範に応じた因果関係が『物語』には必要だと。
それを突き抜けた良作であった、新しい物語性を拓いた、と断じたいが、これも答えは内にしかないリドルなのだろう。
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補足
・ま べた誉めしてるのだが、唯一不満があるとすればニオの活躍がなかった事である。
期待を煽っておいての肩透かしだった。
これは最終話でトカクとハルの2人に焦点を当てたく、ニオを描いてブレたくなかったというストイックな演出意図が、まず1つ。
そしてトカク同士のバトル及び対論は彼女の中での葛藤そのものであるという暗喩なのだろう。
戦うニオのビジュアルは しえな同様キャンセルされてしまった残念。
なによりニオの願いは何だったのか?も不明で、しえなはともかくニオが謎キャラになってしまったのはシリーズの過失かと思う。
まあ、ハルがトカクに殺されるのがお望みなら黙って見物していれば良いものを、わざわざ出張ってハルの一時的守護者になってしまったのは
「裁定者のフリをするのは、何もしないってのは、ストレスの溜まるもんなんだなー」
と少し苦労がしのばれた。
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・究極お嬢様とのバトル会場は最上階、その後の最終回は地下深く
と対をなすロケだった。
「ここは一族しか入れない地下墓所」は"基本的にそうである"というだけで厳密に考えなくても良いのだろう。
一族のハルを案内するという名目であればニオも入れるし、一族のハルに会いに行くという名目でトカクも行ける。
会員制のレストランに会員と一緒なら会員でなくとも行けるようなものだ。
では疑問なのは、トカクは どうやって地下に行けたのかという『手段』である。
どうやって理事長(百合です)とコンタクトを取れたのか。
夜中に自分の学校の理事長に会おうとして理事長室に行く人は いないだろう。夜なので*5
さて
確証はないのだが、トカクは自室から理事長を呼んだのだと思う。
黒組の目的の1つがプライマー観察日記である事を知ったトカクは、まだ監視の類いがある事を確信し、盗聴デバイスを通して理事長に これからの行動を伝えたのだろう。
真オリでの理事長との対面が画面越しで、いかにも理事長室からモニタ越しで学園全体から把握してそう、と推理を働かせる余地もあったのかもしれない。
それに理事長の名前は百合なので、きっと部屋を盗み見……いや、その推理経路はメタか。
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・暗殺処女卒業を経て
「願いはある。でも もう叶えられないんだ」*6と orz してるトカクさんに
「叶えられるわよ、そう 仮想世界ならね」と理事長が囁いた説。
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・みんな生きてるBGMが「仰げば尊し」で良かった。湯浅政明監督だったら「僕らはみんな生きている」で台無しになるトコロだった。
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・刺した後も仲良し、の過程が最終回特急で描写が飛ばされているけど
刃傷沙汰の末、元鞘
というのは割とある気がします。
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・本当に最後のシーン、カイバ先生のメール受信だが
カイバ先生が笑む程の面白い答えが返ってきた
という抽象的な内容で満足すべきなのだろう。答えは自分で考えろエンド。
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感想リンク しからば吟二さん あにまんさんまとめ なんでも速報さんまとめ REACTION of アニメさん海外まとめ わんこーる速報!さんまとめ Little Colorsさん 悠遊自適さん アニメソング綺譚さん 海の見聞記さん
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↑4:29
連想漫画
Banana fish (12) (別コミフラワーコミックス)
この12巻が特に。

*1:出番待ちしていたニオ並みの感想

*2:キルミーとは違う切り口

*3:悲劇性が完結度を高めるのか、ハッピーエンドが完結度を高めるのかの嗜好の差はあるだろう

*4:その一時の感情の価値は「あるといえばある・ないといえばない」とプライマー能力に関したリドルに似てる

*5:更に言えば名義上の理事室は「中に誰もいませんよ」でもある。トカク知らないだろうけど

*6:改めてトカクさんて口調が男らしいよな。書いてて思ったが