バーナンキは正しかったか? FRBの真相 
バーナンキは正しかったか? FRBの真相」デイビッド・ウェッセル(図書館)を読む。面白い。
今回の金融危機におけるFRBの対応を書いた経済ジャーナリストの本。
FRBの成り立ち、バーナンキの前任のグリーンスパン議長、バーナンキFRB議長になるまで等が前段で、本編はバーナンキ金融危機への対応が書かれている。ただリーマンショックの対応など軽く流していて、重点が置かれているのはそれ以前のようだ。
タイトルの設問の答えはバーナンキは正しかった」というのが著者の見解だろう。ベア・スターンズは救ってリーマン・ブラザーズは救わなかったという恣意性が市場を混乱に陥れたのではないか?という問いに対しては「しかし、一律に扱う為の枠組みが作られていなかった。法整備がされていなかった」(大意)という当局側の証言を著者は採用して「バーナンキは正しかった」と結論している様子。
・「ブラック・スワン」著者は低金利を続けるグリーンスパンバーナンキ
「それはダイナマイトの上に座って『大丈夫、安全だよ。これまで何も起きていないんだから』と言っているようなものだった」と批判。
ウィリアム・ホワイトは2006年の論文で、低金利消費者物価指数で判定されるようなあからさまなインフレには繋がらず、むしろ投資ブームを招いて、その後に痛みに満ちたバースト(破裂)が来ると警告。
グリーンスパンは一時的なバブルと持続可能な上昇を識別するのは困難なので、利上げによってバブル(かどうかわからない上昇)を破裂させるべきではないと主張。バブルを安全に破裂させることはできない。バブルが破裂した後に対処する「後始末戦略」を採用していた。
ベア・スターンズを救済した時、テイラーは「ベア・スターンズを救済した基準を国民に説明していない」として批判。「次に大手金融機関が危機に陥った時、当局がどのような対応をするのかわかるように基準を明確にする必要がある」。
FRB理事だったミシュキン「救済措置がモラルハザードを生み出した事は疑問の余地は無い。だが、モラルハザードは大問題であるからそれを生み出すような措置は何一つ採ってはいけないと考えるのはモラルハザード過激派とも言うべき極端な見方だ」と反論。
バーナンキFRB議長に選ばれた時、他の候補はテイラー、マンキュー、マーティ・フェルドシュタイン、スティーブン・フリードマン。最終候補者は5人。
AIG救済に関して。「AIGは事業のありかたや経営の仕方等などからすると救済されるべき企業ではなかった。だが、リーマンに加えてAIGまで倒産したら市場と銀行システムにとって完璧な大惨事になると、我々は判断した」とバーナンキ
AIGの後に破綻したのはアメリカ4位の銀行ワコビアウェルズ・ファーゴ救済合併した。
関連リンク My Life After MIT Sloanさん 
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