脱線FRB 
「脱線FRB」ジョン・B・テイラー(図書館)を読む。面白い。
米国の経済学者の書いた経済本。金融危機の原因はFRBの間違った金利設定にあったという話。
サブプライムローン問題が起きたのはFRB政策金利が低すぎて住宅バブルを引き起こしたから。主に前任者グリーンスパンの所為。
適正な政策金利 = 中立名目金利+α(実勢インフレ率*1-目標インフレ率)+Β(GDPギャップ)
であり、テイラー・ルールと呼ばれている。*2
サブプライム問題の発覚後、現FRB議長バーナンキが2007年から2008年にかけて政策金利を5.25%から2.0%に下げたのもテイラールールから外れた急激すぎる引き下げだと著者は批判している。金利引下げ自体は正解でも、急激すぎて「ドルの急落と原油価格の急騰」を招き、リーマンショック前に既に経済は原油価格高騰のダメージを負っていたとの事。
この1冊の薄い本はテイラールールの正当性の証明、又は金融危機の原因究明に当てられてるのだが正直よくわからなかった。LIBOR-OISスプレッドの拡大が本当に流動性不足やカウンターパーティーリスクの拡大として捉える事ができるのかどうか。またLIBORから銀行間の政府保証つきレポ取引のレートを引いた数字がLIBOR-OISスプレッドと相関してれば、LIBOR-OISスプレッドの拡大が流動性不足ではなくカウンターパーティーリスクの拡大が原因だったのかどうか。まあ、著者的には そういう結論なのだが、さっぱりだ。今回の金融危機大恐慌のように流動性の不足が原因ではない。大恐慌なら紙幣を刷るのは有効だったが、今回の金融危機はカウンターパーティーリスクの拡大が原因。流動性が原因と考えたFRB(と政府)は対応を誤った…という結論。
感想リンク やぶしらず通信さん

*1:食品とエネルギーを除いたインフレ率は使用しない。

*2:本人が命名した訳ではないとの事