経済論戦の読み方 (講談社現代新書)
「経済論戦の読み方」田中秀臣*1(図書館)を読む。2004年12月初版。
エコノミストの経済解説本。
今、経済がダメでリフレをすれば良くなるよ、という事らしいが、「今、経済がダメ」という事からひっかかる。ダメという事に反論したいのではなく、何の指標をもって言っているのか気になって先に進めない。
ちなみに"いざなぎ景気超え"と言われた景気拡大*2は2002年から現在*3まで続いてるそうだ。現在?
とはいえ気になっていた点が解消できた。186頁。
IEA*4の試算で原油価格が10ドル上昇した時日本に与える影響は

(IEAの試算) 2004 2005
実質GDP成長率 -0.4 -0.4
消費者物価 +0.3 +0.3
失業率 +0.0 +0.0

ちなみにアメリカは

(IEAの試算) 2004 2005
実質GDP成長率 -0.3 -0.3
消費者物価 +0.5 +0.6
失業率 +0.1 +0.2

となる。
リフレ派って原油価格上昇による物価値上げを歓迎するのかな?と気になっていたのだが、
"産油国への所得移転"
という事で歓迎しないようだ。
なら何がインフレなんだ?と思ったが、ネットで調べると、そもそもインフレの指標に消費者物価指数ではなく、GDPデフレーターを使ってる気がしてきた。GDPデフレーターについては以下(総務省統計局参照)

 消費者物価指数は家計消費に対象を限定している一方で、GDPデフレーターは家計消費の他に設備投資なども対象となっています。(略)
 また、石油製品などの輸入品価格が上昇している中では、消費者物価指数はその分上昇するのに対し、GDPデフレーターでは製品価格にすべて転嫁されない限り、下落に働くため、両者の乖離幅は大きくなります。

上のリンク先(総務省統計局)でGDPデフレーターのグラフが出てきた所で様々な指標リンク。
GDP(GDP・景気・経済 SITEさん)
失業率(社会実情データ図録さん)
日経平均株価(株・個人投資家の喫茶店さん)
公定歩合 (WEB金融新聞さん) (日銀)
日銀短観(日経ネット)
消費者物価指数(国民生活白書)(下の方、7番目にも各国物価推移の比較あり)
GDPデフレーター(赤羽隆夫)
GDPデフレーター総務省統計局のリンク先にもグラフあるけど、別の見せ方として赤羽隆夫にリンク貼り。この人、「GDPデフレーターをプラス1%程度にして、失業率を4%前後から3%前後に改善」と 言ってる事が具体的だ。
本書はリフレについて理解の一助になったけど、貨幣発行益(お金の額面から刷るコストを引いた利益・77頁)とか

普通に考えると、円安介入というのは、自国の通貨供給を裏付けに持つ無敵の政策に思える。なぜなら、政府・日銀は無限に自国通貨を市場に供給できるからだ

(165頁)とか、それって大丈夫なのと読んでてヒヤヒヤした。
円安介入リンク らくちんのつれづれ暮らしさん
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用語メモ 流動性の罠 名目GDP 実質GDP
感想リンク 愉快痛快(^_^)奇奇怪怪(*_*;)さん

*1:id:tanakahidetomi

*2:期間がいざなぎ景気を超えただけで、成長率は足元にも及ばないとの事。

*3:Wiki記述による→いざなみ景気 最終編集08/3/20

*4:国際エネルギー機関