その数学が戦略を決める (文春文庫) asin:4163697705
「その数学が戦略を決める」イアン・エアーズ(図書館)を読む。面白い。
データマイニングの本。データマイニングはデータベースによる意志決定。マイニングはマイン(鉱山)の発掘を連想して欲しい。
データマイニングの台頭は旧来の仕事の地位と尊厳を脅かす。かつて米国で銀行の融資担当はそこそこ地位が高く給料も良かった。が、今日では融資判断は本社で統計アルゴリズムに基づいて行われる。彼らはデータを打ち込んで送信ボタンをクリックするだけの存在だ。
・ハラーズ社のカジノは顧客を逃さずにどこまでお金を搾り取れるか実に高度な予測を行っている。それぞれの顧客が幾らまでならお金をすっても、それを楽しめて又戻ってきてくれるかをハラーズ社は予測する。同社は その分岐点の金額を「痛みポイント」と呼ぶ。
痛みポイントに近づいた顧客にハラーズ社は こう提案する。「今夜はツキがないようですね。店のおごりで奥様と食事に行かれてはどうでしょう」かくして痛みポイントは回避され、顧客満足度は上がり、又カモになってくれるのである。
・住環境が貧困家庭の子供を改善するか米で無作為抽出テスト。極貧地域の極貧家庭に中流地域なら家賃補助すると誘導。十分なデータは揃ってないが、大した効果(成績・犯罪率・健康などの大幅な改善)は無さげとの事。←米帝的孟母。
・MITの経済学部院生ヘザー・ロスは「負の所得税」について無作為抽出テストを行いたいと政府に補助金申請した。所得が一定以下に下がったら、政府がお金をくれる制度。結果、人々が恐れる程に雇用は下がらなかったが、意外にも離婚率が跳ね上がった。
原題は"Super Crunchers"。「絶対計算」と山形浩生は訳したようだ。そのタイトルだと小説の棚に誤配されそうだ。
関連してるっぽいリンク NPR