李嗣源(上) (朝日文庫) 李嗣源(下) (朝日文庫)
「李嗣源」上下巻 仁木英之(図書館)を読む。面白い。司馬遼太郎なみ。
時代小説。登場人物は李嗣源(りしげん)、李克用(りこくよう)、朱全忠(しゅぜんちゅう)、李存勗(りそんきょく)、石敬瑭(せき けいとう)馮道(ふうどう)など唐から五代十国を描く。作者は「僕僕先生」の人。
1つ1つの細かで膨大*1なエピソードは面白い*2のだけど、全体として諸行無常というかエントロピーを感じる。全て良きものが駄目になっていくような。李嗣源は名君と言われているけど、そうか? 滅ぼした国の皇族を殺さなかったとか、わかりやすい特徴もないし、君主として酷くは無かった程度の消極的肯定しか与えられない気がする。
国号を変えなかったのは、李嗣源が字を読めなかった事が強い原因ではなかろうか。恐るべき無欲ってのもあるんだろうけど。
本書を読んで、同じ作者の「朱温」を読み返したくなった。

*1:今、誰が中心人物なのかわからなくなる

*2:韓延徽のエピソードとか最高。上巻333頁〜。