「アスタロッテのおもちゃ!」12話(最終回)


前回リンク
何でこんなにこのアニメに魅かれたのか考えてみる。この話のパターンが「孤独な魂、相寄る」だったからかもしれない。悲壮ぶらないので、なかなか気付きにくいが2人とも孤独だ。
ロッテはニコニコで『ロイヤルぼっち』とタグづけされていたが、彼女自身は王女であるのだから当然と達観していたようだ。ナオヤは人当たりの良さから社交性を備えていそうだが、娘のアスハに命を救われていた旨をシリーズの途中で告白している。どんな地獄を見たのかは結局明かされず仕舞いだったが、ナオヤを現世に繋ぐのは娘と金だけという細い糸だ。
そして、このアニメはヨスガ枠である。つまりインモラルな設定世界だ。ヨスガノソラがインモラルの当然の帰結として世界からの逃走*1を謀るが、ロッテの世界では世間が無い。唯一、2人の関係を非難できるのはアスハなのだが、彼女は2人を応援している(ように見える)
と、いうよりアスハは全知全能の女神の役回りだ。彼女が1番、正しさの強度を劇中で得ている。ナオヤを生の世界に繋ぎとめ、ロッテを学園の孤独から救いあげた。女神の役回りはロッテ母のメルチェリーダに回ってきてもおかしくないけど、彼女は生々しすぎる。(まあ、枯れてなくて何より)
孤独というと賢者様であるイニの属性である と思いがちだが、主役2人も又そうだったと気付けば、最後のイニの演説も味わい深い。このアニメは孤独についての物語なのだ。インモラルな恋愛話はヨスガにしろ高校教師にしろ、孤独な者同士で起こる出来事だった。孤独な者のみが本当の気持ちに気付き、完遂できるというファンタジー
まあ、インモラルではあるけど、本作の2人はセクシャルなものを求めているのではなくて、極めてプラトニック。設定的にはセックスというか吸精行為が求められているという入れ子構造。「世界が汚く描かれているぶん、2人が純愛に見える」という演出なんだろうな。設定がアレなのにハートフルという不思議構造を解明するカギは この辺りか。
.
結局、前回を盛り上げたコミュニケーション阻害も2人の告白(独白)のハードルを下げる助けでしかなかったオチ。全ては2人の恋愛の為にある。
.
某所で面白かったコメント。
「おまわりさん、この人です」(観覧車でのナオヤ独白のシーンでの弾幕)
面接官「この期間中、何をなさったていたのですか」
面接官「前職についてお聞かせください」「淫魔のおもちゃを」(現世に戻って、ナオヤが求職中と皆誤解してるシーン)
.
終盤「DOG DAYS」と競作のようになったが、ラス前は「アスタロッテのおもちゃ!」の方が過酷で、最終回は「アスタロッテのおもちゃ!」の方が甘かった。確かに「DOG DAYS」最終回は よく考えられていてホステスの営業活動のような主人公のラス前の行動がそのまま最終回でのどんでん返しに繋がったのだけど、とってつけたような感じも拭えなかった。較べて「アスタロッテのおもちゃ!」最終回は、ラス前の過酷設定は何だったんだと言いたくなるような無条件ちゃぶ台返しなのだけど、ハッピーエンドを望み、ラス前にはハラハラを望む視聴者として「まあ誤魔化されてやろうじゃないか」と、好評なんじゃないだろうか。とりあえずネット界隈では。
イニ演説前の彼女のターンの一瞬で「シリアスだ」とわかるカットや、EDイントロがいつもと違うというスペシャル感とか、その辺の演出が効いてる。
2期は無いだろうと思う。売上げ的にも無いだろうし、最後ロッテの背中に成長の痣があったから、ロッテの少女時代は終了と推定されるので。
.
感想リンク にわか屋さんまとめ 猫が唸る感想日記さん
関係者リンク azusa(ED歌手)

*1:そういえば「高校教師」もヨスガ枠か。真田広之桜井幸子出演のドラマ。