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キャピタリズム~マネーは踊る プレミアム・エディション [DVD]
キャピタリズム〜マネーは踊る〜」(DVDレンタル)を観る。面白い。
監督:マイケル・ムーア
金融危機前後のアメリカを描いたドキュメンタリー映画。ドキュメンタリというか、積極的に監督が対象を「こう見せよう」と主演してるので厳密にはドキュメンタリーと分類されないのかな。沢木耕太郎の「私ノンフィクション*1」を連想。ムーアの顔芸*2やら、わざとらしい茶番*3は「電波少年」的。
映像のつぎはぎという意味ではMADムービー的でもあるんだけど、日本のニコニコではムーアは出現してないっぽい。ムネオハウスみたいな生理的な気持ち良さの方向に走っちゃうからか。()
ブッシュ悪玉・オバマ善玉で描かれているけど金融政策は そんなに変化してない気もする。ただベイルアウト(金融機関救済)法案の時の議員の演説は聞き応えある。民主党議員だろう。
「これはウォール街の特権的なブタどもの恐怖作戦だ」
「これは米議会か? ゴールドマンの重役会か?」
「彼ら犯罪者集団は強大な力で最高立法機関の手続きを封じる気なのです。
法案の1語1語を精査すべき委員会は全てカヤの外。国民が外されたも同然です。
我々は憲法で誓っています。この国を 内外を問わず全ての敵から守り抜くと」
などなど。
ただ、日本では政府から銀行に資金を注入する事が何年もできずに、日本全体の回復が そのぶん遅れたのではないかと俺は思っているので、細かい条件は ともかくベイルアウト法案そのものはタイミング的に正しかったのではないかと。ムーアは"危機の演出"を疑っているけど、演出で株価をいっぺんに777ドルも下げないだろう。本当の危機じゃん。
ラストのオチは結構好き。家を差し押さえる冒頭から、金融機関を差し押さえたように見えるパフォーマンスでラストを飾るのは上手い。
この作品は厳密なドキュメンタリとしてはアレだし、電波少年に通じるものがあり、手法としてMADムービーと同じだったりするのだけど、こういう映画をNHK教育で放映してくれないかなーと切に思う。少しくらい深夜でも良いから。
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↓映画で紹介されたクリーヴランド(オハイオ州)の歌2番。
http://www.youtube.com/watch?v=oZzgAjjuqZM
映画では歌の1番とつぎはぎして編集して1曲にしてる。MAD手法。
映画での字幕歌詞↓

クリーヴランドへ みんなおいでよ
まだ残ってる高層ビル2つ
ここは産業が栄えた場所
これは出稼ぎ列車
1年中曇りで晴れは3日
彼は飲酒運転で免停中
町の経済はNBA頼み
家の値段はビデオデッキなみ
主力商品は重いうつ病
これをアートと思うバカ市民
でも状況はデトロイトよりマシさ

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なおDVDには英語字幕なし。PCで再生させたら日本語字幕も無かったけど、俺のPCの所為かも。
感想リンク よだれ一滴さん
連想本 スティグリッツ「フリーフォール」

*1:沢木はボクサーのカシアス内藤のスポーツエッセイを1本書き、その後カシアス内藤の試合を描く為に、沢木自身が試合を組むブックメイカーとして奔走する日々の長編「一瞬の夏」を書いた。沢木は後者を私ノンフィクションと自分で名付けた

*2:デリバティブの説明を聞く時の「全然わからん」という顔。明らかに客を笑わせに入ってる。

*3:『銀行救済に投入された税金を取り戻すぞ』と銀行に乗り込んで相手にされない様の映像