宇宙からオーロラは見えるの?―宇宙飛行士が答える380の質問 (ハヤカワ文庫NF)
「宇宙からオーロラは見えるの?」R.マイク ミュレイン (図書館)を読む。面白い。
スペースシャトルに乗ってた宇宙飛行士が引退後に講演で全米を回り、さまざまな人から質問をされた。そのまとめ。
Q「宇宙でもブラをつけるの?」
A「つける人もいれば、つけない人もいる。無重力だから胸をささえる必要はない」
Q「管制センターではカメラで いつも乗組員を見てるの?」
A「管制センターは乗組員のプライバシーに気を使っている。許可を得てからでないとコックピット内のカメラを作動させない。コックピットには乗組員の判断でカメラを遮断するスイッチもある」
Q「宇宙でも乗り物酔いになるの?」
A「ミッションの最初の数日で宇宙飛行士の40%は吐いてしまうけど、乗り物酔いでなく宇宙酔いだ。乗り物酔いになりやすいからといって宇宙酔いになりやすい訳ではなく、その逆も同じで相関性は無い」
Q「宇宙飛行士はどこに吐くの?」
A「ビニールのゲロ袋だ。吐いたゲロは袋の底に当たり、宇宙飛行士の顔に跳ね返ろうとするから注意だ。宇宙酔いに慣れてない新人はゲロ袋をすぐに取り出せるようにしてるよ」
Q「爆発したチャレンジャーの乗組員は いつまで生きてたの?」
A「死因の特定はできてないんだ。爆発した時のGは彼らに死をもたらせたり、身動きができなくなる程では無かったらしい。直接の死因は海へ墜落した時の衝撃ではないかと推察されている。爆発後、コックピット内の空気が急速に失われて乗組員の意識を失わせたのではないかという事も推察されている。乗組員の手で緊急用空気を吸入するスイッチが押された形跡があるのだけど、残念ながらそのスイッチは飛行中の事故に対応したものではないので、やはり意識は保てなかったろうと推察されている。
この事故以降、スペースシャトルに緊急脱出装置が付けられた。けど実際にはほとんど役に立たないだろうと私(筆者の宇宙飛行士)は思うのだけど、違う意見を持つ宇宙飛行士もいるね」
Q「チャレンジャー事故の影響は?」
A「シャトル打ち上げ回数が減ってしまった。今までシャトルは商業・軍事・科学研究の3分野で活躍していたのだけど、事故以降は商業・軍事に利用するには使い勝手が悪くなってしまって今は科学研究用のみの利用なんだ」
Q「宇宙飛行士に定年はあるの?」
A「無い。だけど50才を過ぎた宇宙飛行士の多くは一線を離れるようだ」
Q「シャトルの次は どんな宇宙船?」
A「有望なのはSSTO(単段式宇宙往還機)だろう。分離式のロケットブースターなしのスペースシャトル。帰ってきて機体に燃料を注入すれば又飛べる夢のロケットだ。1996年、NASAはSSTOであるベンチャースターの開発に着手したよ。(本書では触れてないが、2001年に予算超過で開発中止→wiki)
Q「何故、天候不順でシャトル打上げが延期になるの?」
A「その答えは雷・風・雨・視界の4つだ。
ブースターから噴き出す長い排気ガスが避雷針の役目を果たしてロケットが雷に打たれる事がある。無人ロケットが何機かやられた。
強い風で打上げ直後のシャトルが打上げ台にぶつかる恐れもある。
雨は秒速100kmの弾丸となって耐熱タイルに穴をあけてしまう。耐熱タイルは発砲スチロールみたいに柔らかいんだ。
視界は着陸の時に重要なんだ」
Q「打上げはフロリダなのに、なぜ飛行管制センターや訓練施設はヒューストンなの?」
A「小さな子供からこの質問を受けるという事は、政治家より子供たちのほうが頭が良い事を照明してる。どうして1ヶ所にまとめなかったのだろう。簡単に言うと"政治"のせいなんだ。ジョンソン副大統領が地元に造らせたという訳。ジョンソンは何でこんな蒸し暑いテキサスに生まれたんだって宇宙飛行士を嘆かせているのさ」