ニュータイプ要素増量

月に繭地には果実―From called “∀”Gundam asin:4062836459 asin:4344401549
「月に繭 地には果実」福井晴敏(図書館)を読んだ。面白い。
アニメ「∀ガンダム」のノベライズ。表紙絵は安田朗(各章の頭にも挿絵)。
福井晴敏というと細部の描写には定評があるが、大きな枠組みに関しては首をひねるというイメージだったので期待して読んだ。∀のアニメも細部のリアリティに関しては どうかなあと思うシーンも多かったので。
成功してるノベライズだと思う。大胆な改変も効を奏している。∀を映画から入るのはナシだが、この小説から入るのはアリな気がする。テレビシリーズから入った人と どう感じ方が違うか知りたいものだ。
(ちなみに俺は テレビシリーズ→映画『地球光』→この小説→映画『月光蝶』の順)
ただ、この小説も後半に話が詰まりすぎてる圧縮感があり、読むのが苦しくなるかも。
アニメでは思わなかった事だけども、ディアナを主役として捉えてストーリーを把握するのも面白いな、と。この小説ではディアナが活きてる。逆にキエルは"成人式の後に1ヶ月つきあった男"の冒頭エピソードから、もう地を這う役回りを予感させてて、おかわいそうだ。
前半は「みんな、お前(∀ガンダム)の仕業か」展開。姉妹父を殺したのも、ウィル・ゲイム(ディアナ婚約者子孫)を殺したのも、核爆発させたのも。
後半の人類馬鹿っぷりも清清しいな。馬鹿度2000%増し(アニメ比)。思想の高踏さと手段の拙劣さのギャップ拡大。
ドガルド(アグリッパ・メンテナー部下)の目の隈めいた黒色は、月の下級民の特徴との事。宇宙線を浴びる仕事に従事していたからだそうだ。アニメ版にいたメリーベル(ギンガナム部下)の隈も同じ理由なんだろうか。"王と道化"の道化の役回りで配してるのだろう、とは思っていたけど。
感想リンク 成馬零一 成言かがみさん