子供手当

上記エントリの小説の中に、革命(英語だとレボリューション)という言葉の元の意味は回る事なんだから、ぐるりと大きく回さなければ それは革命ではない…とある。
読んだ時に、黒人大統領が誕生したアメリカ・非自民党政権誕生の日本も革命なんだろうかと考えを飛ばした。革命でなければ革命風味というか…。だから、支持率も高かったのかな、と。革命なんだから。
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オバマ大統領は皆保険制度を導入しようとして苦戦してるようだ。外から見てると「細部は知らんけど大筋としてやるべき政策だろう? 逆に今まで何やってんだ」と思うが、当事国にとっては大騒ぎで大統領の支持率もダダ下がりとの事。
日本の致命的な問題点といえば高齢化で、民主党子供手当*1で対応しようとしている。これも外国から見れば「細部は知らんけど〜何やってんだ」の類いだと思ってる。
外から見るとそんなの常識だと考えるが、中から見るとその常識に移行するには大きく社会を変えなければならず 体がちぎれる痛みになるかも、という温度差。
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舛添要一代議士の「子ども手当て、親がパチンコに使う」発言で、パチンコ屋協会が謝罪と撤回求め抗議 (痛いニュースさんまとめ)
舛添発言は「また政策の趣旨を理解してないな」とよくある事*2なので意外に思わなかったが、ネットでも誤解されてて驚いた。ネットもか。
子供1人あたり3万円/月くらい費やす家計があったとして、子供手当2.5万円/月が配布されたら、5.5万円/月を子供1人に使わなければいけない……………………という政策ではない。不自然に子供に投資しろ、という趣旨ではないし、仮にそういう趣旨だったとしても実行は不可能である。国民がロボットでもない限り無理だ。
子供手当は子供の為に使わねばならない(又は望ましい)という理念の思考実験として子供服商品券5000円分を配るとする。その結果、5000円を確かに子供の為に使うだろうが、浮いたぶんの5000円を自由に使うだろう。それこそパチンコにだって使う。ネットでは それに思い至らず"子供の為に使わせる方策"を考えている人が随分いる。だから国民はロボットじゃないって。
舛添代議士もそうだがネットの皆は、子供手当生活保護と勘違い*3してるんじゃないかと疑っている。遊興費NGの発想は。
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じゃあ、子供手当って何なのって話だが、要するに
緊急事態に伴う不公平な政府支出
と思ってる。不公平でピンとこなければ差別的*4と言い替えてもいい。政府は子供のいる世帯を いない世帯よりも優遇的に取り扱う。
通常なら認められないが危機*5だから泣く泣く政府は非常の政策を敢行しようとしている、というのが子供手当に対する俺の理解。
過去の自民党政府が出生率上昇について何もしなかったとは思わない。通常の手段で最善を尽くしたのだろう。が、結局改善されなかった。その事実が子供手当を正当化してる。少なくとも俺が子供手当を支持してるのは その過去の失敗が根拠。
子供手当出生率低下という緊急事態に対応した政策なので、状況が改善されれば手当金額は減額されるべきだろう。アメリカのアファマーティブ・アクション(逆差別*6.)が社会の進歩に伴って消えていくのと同じ。
子供を作るかどうか迷っている全世帯を後押しできるのが子供手当で、それができれば多少の不正義や軋轢はスルーしよう、てのが今理解している政策の趣旨と採るべき運用方針。
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その他。
・地方格差ほか
子供手当のような給付を先行的に行っている自治体もあるかと思う。
方向としては、自治体独自の子供手当は縮小あるいは消えていくのではないか と。日本政府の子供手当開始以降は過剰給付になるだろうから。(この予想は外れるかも)
つまり地域によっては思ったより貰えなくなる展開となるが、それもありなんじゃないだろうか。行政の地方格差の是正となるので。
つまり同じく出産をして、A町に住んでると5万円貰えて隣のB町に住んでると何も無し*7なら、やはり不公平感は否めない。*8
前述のとおり、そもそも子供手当自体が不公平だけど、地域ごとに差があるような不公平に不公平を重ねるようにはならないのではないかな、と予想。
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保育園についての未来予想…というより妄想だが「保育園の数は増えるが、保育園料は上がる」あたりが上手く回るシステムじゃないだろうか。つまり保育園を造るお金を保育園料の値上げで賄う発想。子供手当とコンボで値上げにも耐え得るだろうという計算だけど完全に思いつきです(数が増えれば競争で安くなる…気もしないではない)。→保育園関連リンク
以上、意外なところで「思ったより貰えなかった(出費した)」予測事例2つ。
・養子*9
養子がどれだけ増えるのか注目してる。海外からの養子とか。
手当をパチンコに使うレベルではなく、狭い家にも関わらず養子をガンガン縁組みして育児放棄するヤクザビジネスみたいな状況は出てくるだろうか。
何人まで と子供の人数を制限して給付する、養子に限っては特に厳しく数を制限した方が良いのかもと妄想したが、わざわざ明文化すると かえってヤクザにビジネスの種を教えるような気もしないでもない。
海外養子自体は世界では結構メジャーで、NHKラジオの英語教材のテーマにもなってた。マドンナ(米の歌手)も縁組みしてたしな。
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関連リンク Serapy C'est la vieさん ラスカルの備忘録さん 日経ヴェリタス大江麻理子のモヤモヤとーく(第21回)*10

*1:政府表記は"子ども手当"

*2:時効過ぎた人に「牢屋入ってもらう」発言や家庭だんらん法ネーミングとか参照。→言及リンク

*3:社民党福島瑞穂党首も子供手当について所得制限を念頭においてるようなので政策の意図を理解してないと思ってるけど、結局所得制限を採用したりしてな。

*4:現在の年金制度も年齢によって払込額-給付額の違う政府公認の年齢差別システムだけど。

*5:高齢化に歯止めがかからなければ40万の月給に35万の税金を取られるような事態になるか(金額はテキトー)、その途中で政府が潰れてるかだと俺は考えてる

*6:例えば就職昇進や入学に際し、同程度の実力なら女性なり少数民族なりを優先する政策

*7:金額は適当です。

*8:行政サービスに地域差があるのは当然だが、住民に関する金銭的な遣り取りは同一にすべきと個人的に思ってる。最近は自治体が独自に減税したり増税したりして良い流れだから、その意味では反・地方分権か。自治体が富裕なら、お金を住民に還元するのではなく、住民の満足度を上げるべきというのが持論。

*9:追記 このエントリを書いた時点では海外在住の子供に手当が支給されると予想してなかったので、日本在住の養子について書いてます。

*10:19分-30分頃の人口ボーナスの話とか。生産年齢人口(15〜64才)比が下がるにつれ、経済成長が下向くらしい。