腕時計一生もの (光文社新書) 
「腕時計一生もの」並木浩一(図書館)を読む。面白い。
高い腕時計のウンチク本。白黒ながら写真がふんだんだった。2002年発行。
高い時計を買う気は一生ないけど、知識として。
クォーツ(安物)と機械式(高価)の違いは まず秒針。
クォーツは電池の節約の為、1秒に1回しか秒針を動かさない*1。スイスの時計職人に言わせると「気味が悪い」「死んでいる」「ゾンビのようだ」との事。1秒に1回、生き返り又死ぬ秒針か。
機械式はなめらかに秒針が動く*2。1秒あたりの振動が多ければ多いほどなめらか。1秒あたり8ビート以上をハイビート、未満をロービートと言う。現在は5ビートが主流。*3
機械式は手巻きと自動巻きにわかれ、大抵は自動巻きだが、おもりを納める為に自動巻きはどうしても手巻きより厚くなり重くなるというデメリットもある。複雑な機構にしたい場合、自動巻きにすると大きくなりすぎるので敢えてメーカーは手巻きを選択する事もあり。ちなみに、無重力では錘りが働かないので宇宙飛行士は手巻きの時計を使用すると言われている。
時計の精度の世界基準として"クロノメーター"という称号がある。スイスの組織が与える。審査は厳しいが審査料金は安い。10スイスフランほど。
スイスの都市で時計と関連して覚えたいのはバーゼルジュネーブ*4。どちらも腕時計の見本市(メッセ)がある。
ジュネーブはナントの勅令が廃止され、ユグノー(カルバン主義者)の時計職人がフランスから移ってきたのが産業の始まり。盆栽村みたいだ。
用語メモ 
クロノグラフ--ストップウオッチ付き。
ミニッツ・リピーター--音で時刻を教える機能。レバーを引くと高音低音が複数回鳴る。1000万円を超えるのが普通。
ムーンフェイズ--月の満ち欠けがわかる。ヨットマンに人気。
トゥールビヨン--時計の姿勢の変化による重力の偏りを調整して正しく時を刻む機構。1775年発明。今でも極めて高価。
真太陽時--平均太陽時は24時間だが、実は1日の時間(太陽が同じ場所に来るまで)は1年を通じて変動している。地球の自転速度は一定してないので。原初の意味での1日が真太陽時。真太陽時と平均太陽時の差が均時差表示。
対磁性--機械式・クォーツとも磁力には弱い。医療関係者*5・潜水艦乗り・雀士*6など対磁性を考慮した方が良いかも。
ステンレス--いわずと知れた錆びない鋼。11%以上のクロムを含む。
18金--75%の金(ゴールド)。全部純金(24金)だと柔らか過ぎて耐久性が落ちる。
チタン--ステンレス並みに強くて錆びず、アルミのように軽い。金属アレルギーも起きない。*7
カルティエ--エドワード7世の「王の宝石商であるゆえ宝石商の王」の言葉が有名
ロレックス--とにかく丈夫
スイス3大ブランド--パテック・フィリップ、オーデマ・ピゲ、バセロン・コンスタンチン
竜頭--寺の鐘の吊り下げ部分。時を司った関係からの命名か。中国語では"自来柄"*8、英語では"clown"(王冠)。
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*1:ステップ運針

*2:スイープ運針

*3:最高は10ビートで0.1秒ずつ刻む

*4:この2都市の他はジュー渓谷が有名。6000人の住人のほとんどが時計産業の従事者。有名メーカーも所を構える。

*5:MRI

*6:全自動卓

*7:アレルギーの原因はニッケルが多い。ステンレスや18金に含有してる事も多々。

*8:竜頭と呼ぶ事も稀にある。