ヤバい経済学 ─悪ガキ教授が世の裏側を探検する
「ヤバい経済学」スティーヴン・レヴィット/スティーヴン・ダブナー(図書館)を読む。面白い。
経済学の本。経済学者のレヴィット自身は「経済学と雑学との境目あたり」と自己言及しているが。
本書の教えは「データをしっかり読み解け」。
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1章 データから不正を見抜く 例)全国一斉テストでの教師の不正/負け越し寸前の相撲力士の勝率*1
2章 情報の公開がシステムを変革する 例)KKK団/不動産仲介業
3章4章 アメリカの犯罪の減少要因は何か。本論。
5章6章 子供の成績に関する条件は何か。関係しない条件は何か。白人風の名前と黒人風の名前は子供にどういう影響をもたらすか。
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社会学の実地調査(フィールドワーク)で、学生が貧困地域に行きアンケートを集めろ、と教授の指示。「電波少年」より過酷で、一歩間違うと死にそうなんですけど。
チャウシェスク下のルーマニアは堕胎がほぼ禁止され、出生率は2倍となる。避妊も禁止され、「生理警察」が職場を巡回し妊娠を調べ、長く妊娠しないと「禁欲税」を払う事となった。
チャウシェスクを退陣させ、結果的に殺した社会勢力は この「チャウシェスクの子供たち」だとも言われている。
・著者は1973年の中絶合法判決が1990年代米国の犯罪減少要因である、と主張している。
理屈(仮説)は、望まれない子は犯罪者になる可能性が高いのでは*2→中絶が犯罪を未然に防いだ。
支援データは、中絶合法化を始めた州から犯罪が減少をし始めた等。
この仮説がこの地域この時代での限定的な"原因→結果"なのか、そもそもこの仮説が合っているのかはわからないが、センセーショナルな主張なのは間違いない。
なお、著者は「中絶は現在、全米年間150万件。無理な回答を迫られて『胎児100人と1人の人命を等しい』と仮定したとする。すると年間1.5万人の命が失われてるに等しい。丁度全米年間の殺される人数が1.5万人だ。」というデータを上げている。"中絶→犯罪減少"の仮説を主張する前より、心情的に以前より中絶反対派に傾いた*3と著者は告白。
・「適切なインセンティブさえ与えれば、どんな問題でも解ける」は俺も少し思ってる。

*1:負け越し寸前の相撲力士の勝率は異様に高い。次に又あたると勝率は異様に低い、と著者は述べ、星のやりとりを示唆。

*2:子供が多いほうがより貧困で、親が子供を構わず、犯罪に加担するのかどうかの視点/データも欲しかった。何人兄弟が最悪か?

*3:この辺ホントか?と思ったが。