国産ロケットはなぜ墜ちるのか
「国産ロケットはなぜ堕ちるのか」松浦晋也 (図書館)を読む。面白い。
日本の宇宙事業に対する入門書。すらすら読めた。2004年2月発行。
つまり、日本の宇宙開発は
・予算が足りない (他と比較して・プロジェクト毎・事前の実験回数が標準以下)
・悪しき官僚主義に一時期支配された。 (2年毎の配置転換で技術者が育たない・技術を知らない官僚が上層部にいて邪魔)
・メーカーですら利益率の低さに逃げ出そうとしているのでは? (日産はカルロス・ゴーンにより宇宙事業を切り捨て)
と問題点を指摘。
意外だったのはNASAの「スペースシャトル」事業を失敗と著者は断言してる事。
元々の計画では、スペースシャトルは使い捨てロケットでない為、かなり高頻度で発射できる筈だった。が、着陸後のメンテナンスに予想外に費用がかかり、当初計画はズタズタとなったとの事。
中国の有人ロケット「神舟」についても、スペースシャトル型を採用しなかった開発者の見識を著者は高く評価している。
また、1998年8月に日本を横切って墜落した北朝鮮テポドンミサイル」*1は「日本威嚇」ではなく、本当に「衛星打ち上げ失敗」だったと著者は断言している。アメリカも韓国も、調査により「衛星打ち上げ失敗」と断定したが、日本だけが「ミサイル実験」と言い続け、日本マスコミは追従しているとの事。
著者は理系善玉・文系悪玉で論を進めているようなトコロがあり、大体賛同できるのだが
・火星探査機「のぞみ」の失敗の一因は装備詰め込みすぎ (文系が予算つけないので)
・メーカー技術者が「できる」という嘘を見抜けない (文系が騙されやすいので)
の2点は理系なんとかしてくれよ、と思った。
/
理系文系リンク 牧野淳一郎(理系)池田信夫(文系)
↑で牧野淳一郎(理系)指摘の「このようにコスト・パフォーマンスが大きく違う最大の原因は〜からだ。」(3つめの緑部分)が、いつまでも池田信夫サイトで文章公開されている所から、宇宙開発における文系官僚の硬直性(頭の硬さ)を想像。
感想リンク はやぶさまとめニュースさん 愛・蔵太のすこししらべて書く日記さん
自分用メモ
測位衛星
地球低軌道(Low Earth Orbit)高度300-600km スペースシャトルや宇宙ステーションなど
静止軌道 赤道上空3万6000km 通信衛星放送衛星気象衛星など
極軌道 高度700-900km 地球を南北にまわる。情報収集衛星など
2/23追記
H-IIA 14号機、打ち上げ成功との事。良かった良かった。
なんかJAXAのライブ中継はWINDOWS MEDIA PLAYERの調子が悪いのか見れなかったけど。

*1:と日本では認識された