イージス艦漁船衝突事故

(事故ははてなキーワード化されてないようなので概略)
千葉房総半島沖、19日未明に海上自衛隊イージス艦と漁船の衝突事故。漁船は二つに分断され、漁船乗組員全2名は以降行方不明。
なんだか よくわからない不思議な事故だと最初思った。今現在の推測を書く。
事故は何故起こったか?』 『報告は何故遅れたか?』 『結論
(当エントリは「新情報の追加」・「自分の無知に気付く」等で修正あるかもだけど、その時はわかりやすく明示予定)
論点1 『事故は何故起こったか?』
・目視で見張りしている人が交代時間で引継ぎ事務に追われ、監視を怠った。
・ちょうど眠い「魔の時間」なので、監視を怠った。
等のイージス艦乗組員の「監視すり抜け論」をテレビで何度か見かけた。
監視が1人なら、有り得ると思うけど、複数監視体制*1で「監視すり抜け論」は まず有り得ないと思う。
という訳で以下の記事。
イージス艦事故:直前遭遇の船長「イージス艦は減速せず」 - 毎日jp(毎日新聞)
この中の

イージス艦は減速せず、ほぼ正面から向かってきた。危険を感じた」。清徳丸と衝突する直前とみられる「あたご」と遭遇した僚船「金平丸」の市原義次船長(54)は、19日夜の会見で、当時の様子を語った。

という箇所。衝突した漁船と一緒に漁に出た漁船の
イージス艦は近くを通る漁船に何ら回避行動をしなかった」(1点目)
旨の証言。
そして朝のテレビ番組で、自ら船舶免許を持つテリー伊藤
「『とにかく大きな船には近づくな。大きな船は小回りが効かないので危険だ』と教えられた」(2点目)
とコメントしてる。
上記2点から推測するに、
基本、自衛隊は回避行動を採らない。自分以外の船が避けると思ってる。→ なので、レーダーなり目視なりに他船を視認しても何の行動もしない事が日常化していたのではないだろうか。
つまり、人*2の問題ではなく、システムの問題かと。どういった回避マニュアル(又は口伝)が自衛隊にあるのか非常に気になる。
操艦していた現場にも当然責任はあるが、システム自体がおかしかった場合は「突発的事態に対応できなかった」という意味での責任でしかなく、まず問われるのはシステムだ。罪の考量は、現場より背広を重くするべき。
素人考えで言うなら、、300〜400メートルより近くなるとレーダーは役に立たない(海自幹部語る)そうだから、まず最初レーダーで視認し、近づいたらレーダーの人から目視の人に「漁船がいる」旨伝えて警戒体制を採り、自動運転から手動運転に変えるかどうか目視の人と操船の人で連絡を密にとるとか、そんなマニュアルを想像するのだが。…なんかニュース聞いてると、そんな話は出てこないっぽい。レーダーに関し、未だ曖昧な発言しか防衛省はしてないと思うのだが、まさか映らなかった筈は無いだろうと個人的に考えている。*3
上記の「マニュアルがおかしい」というのは、立派なマニュアルがあっても常態として自衛隊全体で無視してる場合も含む。その場合も「人」ではなく、「システム」の問題だと考える。*4
論点2『報告は何故遅れたか?』
まず以下。
イージス艦事故:海幕担当者「重大事故報告」の通達知らず - 毎日jp(毎日新聞)

担当者が、重大事故発生時に内局(背広組)を通さず防衛相秘書官に報告することを明記した内規である「事務次官通達」の存在自体を知らなかった

担当大臣・首相への報告遅延の教訓を経て、事故・事件をスキップして上層部に報告できるよう、システム改変した筈だった。初運用となる今回の事故で、担当者がシステム改変を知らなかったという話。これはシステムではなく、人の問題だと思う。初運用なので。 
担当者に厳罰を与える事がシステム運用の第一歩かと。
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事故から海上保安庁への通報までに16分かかったことについて、或るテレビ局は
イージス艦が救助活動に専念していたのでしょうがない」とスルーし、或るテレビ局は
「救助活動と通報は二本立てで行うべきで、危機管理がなっていない」と批判した。
後者を支持する。
事故の規模によっては、海上保安庁出番なしでトンボ帰りといったケースも出てくるだろうが、「事故後の救助活動は一分一秒が大事」との事なので、一刻も早い海上保安庁への出動要請は自らの救助活動と同じくらいの優先順位で良いと思う。自分で探した後、見つからないから海上保安庁へ通報では、海上保安庁も力を発揮できないかと。
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結論
・海自の"ニアミス・回避のマニュアル(又は口伝)"を検証すべき。(どうも、このイージス艦だけのヒューマンエラーだとは思えない。海自全体の問題では?)
・報告遅延の原因となった防衛省担当者は厳罰にすべき。
・事故と同時に海上保安庁に通報するようにマニュアル改定すべき。
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その後自己リンク 08/2/27 08/5/31

*1:この記事だと前方目視は10人

*2:「監視すり抜け論」など

*3:レーダーのログって残らないのだろうか。残らないなら似た状況で追試か

*4:ちなみに、そんな物騒で近寄ってはいけない大型船は、航海プランが公開され、情報が共有されているのだろうかと疑問を持ったのだが、小倉智昭の番組で判明。どの船も航海プランの提出は無いそうだ。ただ、浦賀水道のみ、ひどく混雑するので航海プランの提出みたいなモノがあるとの事。