くらやみの速さはどれくらい (海外SFノヴェルズ)
人の幸福は「無力感」で測れるのかなと妄想した。「無力感」が少ない程幸福。
.
「くらやみの速さはどれくらい」エリザベス・ムーン(図書館)を読む。面白い。
自閉症SF。訳者は「アルジャーノンに花束を」を訳した小尾芙佐。カバー絵は牧野千穂。解説は梶尾真治
著者は、自閉症の息子の質問から本作の着想を得たとの事。

「光の速さが、秒速30万km*1だとしたら暗闇の速さはどのくらいなの?」
それに対してわたしは普通に
「暗闇に速さは ないのよ」と答えました。
すると息子は
「暗闇のほうが速いはずだよ。だって最初に暗闇があるんだから」と言ったのです。

自閉症である主人公視点で本書は多く語られているのだが、自閉症の人たちが本当にこんな思考形態を取るのかは俺の中では保留*2。魔法で、ある種の感情だけ凍結されているみたいだと思った。
ストーリーのペース配分は予想外。残頁にハラハラした。というか、あまりにも某書を意識して読み違えた。本書のストーリー構成なら、エミーやリンダに もう少しスポットを当てるべきかと。…うーん、でも常道から外れたからこそラストの驚きが得られるのか。
解説の梶尾真治が書いたとおり"この結末の複雑さは、ちょっと例を見ない"。
感想リンク こどものおいしゃさん日記さん Hybrid No.9→underdogさん 泡沫日記☆独断と偏見に満ちた読書記録さん
.
.
.
ところでこのサイトのメインコンテンツは短歌です。→ポチっとな

*1:原著はマイル表記

*2:他に幾つか読んで判断しよう