スティーブン・キングに読ませたい2冊目

模倣犯〈上〉 模倣犯〈下〉
模倣犯宮部みゆき (図書館)を読む。面白い。
大作。宮部みゆきも時代に肉薄し、切り取ろうと格闘している作家だったと再認識。個の視点でライトノベル的にナイーブに雰囲気から時代を描くのではなく、俯瞰的にストーリーの力で冷酷に時代を突きつける、そんなかんじ。
犯人と被害者とマスコミの骨を削るような三すくみというか三題噺というか。
読後、しばらくすると犯人が矮小化されて記憶に残るが、読中は泥沼の迷宮のようだった。翻弄されっぱなし。読後感で犯人が大した事ないように思えるのも、おそらく宮部みゆきの計算なのだろう。キャラ小説として後にひくような魅力ある悪役など、この際何の意味もないという完結性。
しかし、兄の無実が物証で得られないという世界設定なら、犯人が捕まっても証言次第の舌先三寸なのではないだろうか。「3人で犯行をしました。兄は女性をあてがえば犯行を喜んで手伝いました」とか。
ちなみにスティーブン・キングに読ませたい1冊目は小野不由美の「屍鬼