「劇場版 魔法少女まどか☆マギカ新編/叛逆の物語」を観る。面白かった。テレビシリーズ視聴済み。
平日シネコン最終上映1200円。客の入りは50人弱くらいか。
21:50に予告編含め暗くなり、23:59に明るくなった。エンドロールの後にも映像あり。
パンフ1000円購入可能。ネタばれ防止シールは剥がすが吉。
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以下ネタばれ。
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面白いが儚いのかも。(詳細後述)
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まず、テレビアニメの映画化とは何か? から考える。
現在、これほどまでにテレビアニメで映像の質が上がっているのに、映画では更にナニをすれば良いのだろうか。
一昔前なら「おお、テレビシリーズより作画良い」などと貧しげな事を言って充足できた。しかし、現在のテレビアニメの水準は最高まで来ている。テレビも映画も大して変わらないのだ(個人の感想です)
再度問う。テレビアニメの映画化とは何か?
その1つの答えが本作である。→イヌカレー空間の濃度を上げた。
そのテレビシリーズのキャッチーだった演出・表現を拡大してみせた。これが他のテレビシリーズの映画化に応用できるかというとネガティブだろう。例えば、歌やダンスのシーンだけCGを用いるテレビアニメがあったとして、映画でダンスCGシーンばかりにしたら話が崩れるし、日常シーンもCGアニメにしたところで良くならない。無駄にキャラが動いても仕方ないし*1、そのアニメの雰囲気・質感…つまり1番大事な箇所が喪われてしまうだろう。
この映画のイヌカレー具合は本当幻想的で、雰囲気的に近い映画は「銀河鉄道の夜」(ますむらひろし版)なのかな、と一瞬思った*2
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ストーリー的に1番近いのは勿論「ビューティフル・ドリーマー(以下BD)だ。うる星の2作目。
押井守監督が言うに、アニメは絵だから実写と比較して抽象表現に向いている、と。*3
BDでのタクシー会話シーンは絵としての情報量は少ない。が、抽象的 かつ よくストーリーに絡んだ名シーンといえよう。哲学的かつスリリングで記憶に残る。
まどマギ新作は絵としての情報量が多すぎて、絢爛すぎて、抽象表現に向かないのではないか。
ただ、BDと比べてフーダニット『誰なのか』という点は まどマギ新作の方が上手く観客の関心を引っかけているように思う。
俺は、「ヒトミが上条くんにヤキモキしてナイトメア化する所を助けてあげる」なんて、さやかの業は相変わらず…と少し疑った。
あと、テレビシリーズに比べると演技より映像が目立っているな、と。
で、冒頭に戻るのだが、
儚い
と。
どういう意味かというと、『結構簡単にこの映画の筋を忘れそうだな』と。*4
・映像情報が過多
・やや声優演技の印象が薄い(声優の見せ場が少ない)
に加えて、『話が複雑*5』『テレビシリーズとブレる』の計4点から判断。
ブレる というのは例えば さやかは映画で活躍してラストも救われているようではあるけど*6、救われたぶんキャラとして残らないのではないか。鮮烈な印象がブレた。鮮明ではなくなったのではないか、と。
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この映画が素晴らしいのは間違いない。アニメ映画史に残ってほしい素晴らしさだが、敢えて何やら書くと上記だ。
テレビシリーズの映画化はファンディスク的な要素もあり、前半のドリームチームっぷりや対決シーン等 正にファンが夢見た公式映像で、素晴らしいと共にファン向けでしかない気もする。
まどマギを少しも知らない人に この映画を見せると どう評価するのか。ネットに潜ってみるとしよう。
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書き忘れ追記
結局ほむほむは 最初もラストも大して変わってない気が。
最初はQBの管理世界で、ラストは ほむらの管理世界であるだけの違いで内実変わらん。まあ最初の世界でも ほむらは自覚的で世界のおかしさに気付いていた(という理解で良いのだよな)ので世界を満喫できなかったろうけど。そして世界の謎を解き明かすのはQBの思惑どおり運命だったのだろうけど(という理解で良いのだよな)。最初の世界もラストも一長一短な感じ。
この辺は、テレビ10話の1巡目の世界と12話5巡目の世界が大して変わらないのと一緒か。
1巡目のワルプル後、ほむらが「主人公が命を賭して守った世界を私も守っていく」と願って魔法契約すればテレビ版ストーリーが大幅圧縮できてしまうという。
まあ、映画版で「まどか神、思ったより弱い。それに身近!!」とパラダイムシフトの必要あるのでアレだが。
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「ラストの世界の何処がいけないのかわからない。皆ハッピーじゃん」とロジカルに考える人がいるかもしれない*7。神を欺いて手に入れた世界でも、ほむら本人が悪魔と自称しようとも、その世界は痛みと苦しみが1番少ない世界ではないだろうか、と。
ざっくりした俺の理解では、「その世界はサステナブル(持続的)ではない」のだろうな。破綻は誰の目にも明らかなのだろう。さやかにも、ほむら本人にも。
神の力で安定していた世界を、卑小な悪魔(自称)の力で保てる訳がない。サステナブルでないのは、映画最初の世界もラストも同じ。
ちょっと この辺りは「化物語」シリーズにも似てる(「暦物語」まで既読)。そこに気付く前は*8、「ラムが死んでるBD」が1番近いとイメージしてた。
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蛇足*9 最初の世界は隣町に行くのもできない欠陥世界だが、ラスト世界はほむらの思いどおりになる万能世界(しかし破綻は目に見えている)で180度違うように見えるが、思いどおりになる世界が本当にリアルか? 夢みたいな欠陥世界ではないか、と。「指輪物語」のように火山に捨てる必要があるのではないか、力を。
まあ、これはラストが破綻する世界でなくとも、思い通りになる世界はリアルではないという話で、「その世界では破綻する」という前提の方が重要なので蛇足だが。
ほむら理解(作品理解)は この分類表がわかりやすかった。→ほむら派閥表が作られる!あなたはどの派閥?
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語句メモ マスカルポーネ(イタリアチーズ)
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↑1:20 つい最近まで再生数3桁だったのが信じられない
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↑3:38 魔女は さすがにMMDないのか
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↑1:51 タグ『ロッソ・ファンタズマ』など 投稿日時がポッキー。
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↑0:59 タグ『こんなの絶対おかしいYO!』『ミキサーやか』『円盤の理』など

*1:とは思うが、どうなんだろ。「WORKING!!」1期最終回冒頭の伊波の動きなんかCGぽかったが、あの動きは効果的だった

*2:今観ると大した映像ではないのかもしれないが、当時は幻想的だな、と。

*3:宮崎駿監督も同様な事を言っていたと思う。

*4:この感想は鑑賞後30分後の印象だが、数日を経た今では「結構残るな」とちょっと翻している。ただ、この映画の事を意識的に考え続けている事で記憶に残らせている特異なパターンで、考える事を止めれば速やかに忘れてしまうのだろう。

*5:というか、QBの"ほむらゴアテックス空間"の辺りがよくわからなかった。

*6:そういや上条くんの怪我って どういう扱いなんだ?

*7:と思ったがネット内では あまり見ない

*8:気付く=言語化した。言語化する前も、観ている最中も ざっくり理解していたと思う。

*9:撫子だYO