リアル〜完全なる首長竜の日〜」を観る。面白かった。シネコン最終上映1200円。
監督 黒沢清 出演 綾瀬はるか 佐藤健

黒沢清の毎度の「世界が終わる」感はシビれる。あとアニメの見過ぎである俺の脳が大胆な構図(画面構成)に喜んでいた。空白ドーン。
(以下ネタばれ)
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綾瀬はるかは「おっぱいバレー」も面白かったし、結構作品に恵まれている…訳はないか。選んでいるとは思えない。多分出演作でつまらなそうなのを俺が避けているだけ。でも座頭市や「僕の彼女はサイボーグ」も面白くなりそうな怪作で、意欲は感じられる。インシテミル」は 酷かったけど。
佐藤健という役者は知らなかったが「(劇中)ニートのくせに なんという自信あふれる主人公オーラ」と最初 惚れ惚れしながら観てた。納得の非ジャニ。
ストーリーは夢枕獏サイコダイバーというか、SAOというか幻想ホラーandバトルな感じ。大体3部構成、と思って良い。佐藤健語り部というか話の導き手な第1部。綾瀬はるか語り部な第2部。「その後」のアクション編の第3部。この思い切った構成、視点(ジャンル)の変化が中だるみを防いでいる。
何故、主人公が死に陥ったかは「経験をやり終えた」から とは言えないだろうか。「最愛の人を失う」という擬似体験もしたし、冒頭から気にしてた原罪も思い出した。だから死ねる、と。
古事記に倣うなら、意識不明の時の連れ戻しなんて「演習」で、実際死んでからが「本番」なのかもしれない。生きている時は生命力が強すぎて、その人が造り安住している仮想世界を壊せないみたいな。
最後、精神世界から出ないで2人でずっと暮らしていくオチかと思った。精神世界のシーンで終わるのかと。逆に最後の最後で目覚めるシーンを出したのは黒沢清も一般向けに ひよったな、老いたな、と少しシニカルな気分になった。*1
どんでん返しについては、「アシが男性」というのがヒントだったのかも。あのテカテカな"フィロソフィカル・ゾンビ"映えする顔だからキャスティングされたのかな?と観てる最中は見当外れな事考えてた。
ああ、あと「あの島のブイを首長竜に見立ててるのかな」と見当外れの2乗。
中谷美紀は ひょっとして機械なしでもセンシングできるウィッチドクターみたいな人なんだろうか。機械なんて飾り。本当は中谷美紀の人力でセンシングは行われていたり。
ロケ地は式根島かと思ったら八丈島だった。
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関連リンク 佐藤健「生まれつきビックリ顔に感謝」…「リアル」初日あいさつ - 読売新聞

*1:まあ、無理に解釈するなら冒頭「ずーと2人で暮らしているみたい」(大意)というのは、2人はずっと夢で暮らしている事を示唆しているのかもしれない。片方は死に、片方は未帰還というオチ。