1プードの塩 ロシアで出会った人々 
「1プードの塩」小林和男(図書館)を読む。面白い。
NHKの人の駐ロシア体験ルポ。著者が出会った人物を各章で紹介してる。
ゴルバチョフからプーチンまでの歴史を補完できて得した感。適当に手に取った本が当たりだと嬉しいや。ストーリーの順番がシャッフルされている小説を読んだような面白さだった。
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ゴルバチョフ政権下で旗手として期待されていたエリツィン議員は訪米中、酔い過ぎてホワイトハウスの庭で立ち小便。
棒高跳び選手のセルゲイ・ブブカは自己ベスト(=世界記録)をわざと大会で出さずに少しずつ本気を出した話。(招聘された大会が盛り上がるから)「まだ30㎝は高く跳べる」
・セルゲイ・メドベージェフはソ連のテレビキャスター。ゴルバチョフを監禁したクーデーターではテレビ局も軍に押さえられていたのだが、テレビ局の出口を固める兵士に「上からの命令だ」と言いくるめて外に取材に出かけ、検閲も放送終了前のドサクサで放送テープを滑り込ます。内容は、エリツィンが戦車に立ちはだかってクーデーターに反対する声明を読み上げる場面など。「クーデーター反対派はロシア政府議会の建物前に集合している」とニュースの最後にコメントし、その後モスクワ市民は続々と集結。*1
・クーデター下、ソ連の外務省の人*2は各国大使の前で。「このクーデーターは失敗する」と断言。ニュージーランド大使は「このクーデターは成功し、ソ連は逆戻りするのではないか」と反論。韓国大使は「じゃあ、あなた方2人で10ドル賭けたらどうでしょう」と提案した。クーデター失敗。
・催眠術でアルコール依存症を治す療法。
・亡命しなかったプリマ*3が語る秘密警察の恐ろしさ。殺すのではなく、亡命ダンサーの足を交通事故で潰すのだそうだ。死より残酷との事。

*1:この辺はフィリピンの革命で「マルコス大統領が逃げ出した」と積極的に誤報を流したたくさんのミニラジオ局を連想した。このソ連の話は誤報ではないのだけど

*2:パノフ局長

*3:バレエダンサー