鬼麿斬人剣 (新潮文庫) 吉原御免状 (新潮文庫)
鬼麿斬人剣」「吉原御免状隆慶一郎を読む。実家の本棚にあった。面白かった。
時代小説。2つ並べたけど別々の話。
隆慶一郎は初めて読む。「吉原御免状」が作者の処女小説らしいが、なるほど時代考証パートが多く、少し"お勉強小説"ぽいか。
『当時の時代小説が今のラノベにあたる』と常々思っているのだけど、「吉原御免状」で目を惹いた箇所あり。110頁。

こんなうす汚い世の中に糞尿に塗れながら生き永らえるなど、真平御免だ。定刻にお城に登り、定刻にお城を下がる。商人のように算盤をはじき、お上にへつらい目下の者をおどし…それがたかだか栄達と金のためだ。うす汚い! それが武士のすることか! いや、武士とはいわぬ。人間たる者にそんな下劣な真似ができるか。

この辺の"厭離穢土・欣求浄土"感は田中ロミオ「AURA」(小説)を連想。