ミカイールの階梯〈上〉 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション) ミカイールの階梯〈下〉 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション) 
「ミカイールの階梯」上下巻 仁木稔(図書館)を読む。面白い。
百合SF。「北斗の拳」のような"崩壊後の世界再建"の話。デビュー作「グアルディア」と同世界だが、単巻で読んでも問題なし。
1頁目の読みにくさに放り投げようかと思い、5頁10頁20頁と「これは佐藤亜紀の悪影響を受けて こんな読みにくいのかな。ここで途中放棄すれば傷は浅いかな」と何度も迷う。20頁を過ぎるとスラスラ読めるようになるので、そこまでは我慢するが吉。主語がわからなくなる文章は何度も再発するけど…。いったん読むのを止めると再開するのが億劫になるけど、入り込むとかなり面白い。
設定の一部の『人工子宮』は こんな感じ。
人工子宮は亜人を大量生産した。亜人は人間の使役に用され、労働と娯楽 つまりパンとサーカスの2方面から人間を支える。また人工子宮は医療用の臓器を提供し、食肉用の肉も供給した。崩壊前の絶対平和と呼ばれた時代の事。
人工子宮のオリジナル細胞(子宮の細胞)を提供した女性は重度の先天性免疫不全症であり、自己と非自己の識別がつかず、人工子宮の外壁などの金属やシリコンにもアレルギー反応を起こさない。異種生物の細胞すら慈愛をそそぐ母であり、神に祝福された遺伝子として信仰の対象になる。
人工子宮はカソリック圏で無原罪懐胎、イスラム圏ではシャフラザード、ロシア圏ではマトリョーシカと呼ばれる。
ストーリーの主設定ではないのでネタばれ度薄いと思って長々と説明したが、つまり本書は科学と地域文化が融合したSFだ。
今回は中央アジアが舞台という事で、ロシア趣味と遊牧民イスラムがモチーフ。この辺が舞台のSFというと山田正紀の「崑崙遊撃隊」くらいかと思って、地図を見てみたらタクラマカン砂漠を挟んで緯度の差が北海道と埼玉くらいあった。(そんなに近くなかった)
終盤、残頁にハラハラして読んだが、も少しボリュームあっても良かったと思う。
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メモ ボクダーノフ