ハッピーアイスクリーム (中公文庫)
ハッピーアイスクリーム加藤千恵(図書館)を読む。面白い。
歌集。文庫版。
手にとって値段を確かめパラパラめくり、「これは理想に近いかも」と思った。
この厚さで600円。(欲を言えばあと100円か200円安いと なお良いのだけど。
何よりも、短歌の配置にセンスがある。黒系とピンク系の色を自由に使ってデザインされた頁たち。
これがもっと下品になるとフォント芸っぽくなるけど、抑制が効いてる。
.
歌集の新しい形態は"ラノベレーベルでイラスト多用した文庫"が良いんじゃないかと夢想してたけど、本書もまた これはこれで理想に近い。
歌集をわざわざお金を出して買うというのはアニメDVDを買う所有欲に近いのではと妄想してる。解説やあとがきを充実させる"特典商法*1"も有効だが、短歌の見せ方が贅沢という"洗練"*2で勝負できるのかと本書で初めて気付く。
.
短歌自体は枡野浩一チルドレンっぽいシニカルでいじけた感じのわかりやすい歌。好きなのは

めちゃめちゃに空が晴れてる
たった今爆発すればいいのに全部

3人で
傘もささずに歩いてる
いつか ば ら け る こ とを知ってる

など。歌集の中での見せ方が特に上手い2首。
解説は枡野浩一谷川俊太郎。谷川は「ギルバート・グレイプ」(映画)のようだ、と誉めてた。
感想リンク 鉱石ラヂオ日報さん

*1:イラスト写真も含む

*2:アニメDVDに例えると画質の問題か?