途上国が貧しいのは先進国が搾取しているからではないし、貧乏人が貧しいのも金持ちが搾取しているわけではない (金融日記さんより)
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上記意見には賛成ではないのだが、それほど突飛な事を言ってるとも思わない。
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1 考える前に(従属理論vsトリクルダウン)
『先進国が搾取するから、ますます貧しくなる。又は貧しいままで固定される』
という考えが従属理論。又はメトロポリス-サテライト構造。
1980年代からのNIES(新興国)の発展、つまり貧しい国が富むようになった事で、従属理論は時代遅れとされた。
で、金融日記さんは従属理論を否定してトリクルダウンの考え方を採用してるように見える。
『経済が発展すれば、富裕層が富んで格差は拡大するかもしれないが、最終的に貧困層も豊かになる』
という考え。
これも現在では あまり支持されてないようだ。→スティグリッツ
・19世紀のイギリスは国全体が繁栄したが、貧困層は拡大。
・1980年代のアメリカは経済成長下で貧困層の収入は低下していった。
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つまり、どちらも(従属理論もトリクルダウンも)"理屈として確立してる考え方"であるという事。
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2 結論(正しさは保証しません)
で、金融日記さんは「グローバル経済に組み込まれる事が豊かになる道筋だ」と主張してるように見える。
或る意味では正しい。
グローバル経済に組み込むという事はサステナブル(継続的)なビジネス関係となるから、買い叩くにしても弱者が餓死するような契約は結ばないだろう。
餓死する貧しさからは抜け出せる。豊かになった。 
買い叩き関連リンク
が、程度の差はあれ強者が価格決定権を持つのは避けられない。できることなら、ギリギリ生かさず殺さずまで搾取したいだろう。。企業というのは、つまり"数字の最大化"なのだから。
結論として、「そこそこは豊かになる*1が、経済的強者への監視・規制は必要」。
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3 補足(時代によって結論が違う)
おそらく金融日記さんは現代における「グローバル化に組み込まれた際の成功事例」が頭の中にあるのではないか、と思う。
が、現代ではなく観測の時代をチェンジすれば悲惨な事例も多々見つかる筈。
「自給自足経済がグローバル経済になったら、前より貧しくなったな この国。100年経っても貧しいままだ」とか「自営農が立ち行かなくなってロンドンで働いたら、教科書の絵に*2載っちゃった」とか。
搾り取ろうとするは自然で、それに対する規制があって現在に至る。注視しなければ先祖返りも普通にある事かと。
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4 金融日記さんエントリへの反響の感想(罵倒よくない)
はてブを読むとエントリへの罵倒もある。
罵倒した人たちの立ち位置は
「貧しい国は 日本の工業製品への関税をもっと上げても構わない」
「日本は貧しい国の農産物の関税を下げて もっと買うべき。もっと高い値段でも買うべき」
なのだろうか。
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連想語句 スウェットショップ
連想ドキュメント映画 「ダーウィンの悪夢」
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*1:上手くいってる場合において

*2:悲惨な労働状態として