騙された

スプートニク
スプートニクスプートニク協会ほか(図書館)を読む。面白い。
11編からなるソ連宇宙開発秘話。白黒ながら写真・イラストがふんだん。
主に、2人の宇宙飛行士の事故が述べられている。
・1975年、ソ連ライカ犬を宇宙に1週間飛ばしたが、回収した犬は黒焦げで死んでいた。記者会見には替え玉の犬が登場し、当時大成功と報じられた。(35頁)
ソユーズ2号とソユーズ3号のドッキングは失敗。失敗を小さくする為、ソユーズ2号は有人ではなく、自動操縦であるとソ連は嘘の発表。イワン・イストチニコフ宇宙飛行士は打ち上げ前日に病気で死亡したとされる。(33頁)
・イワン・イストチニコフ少年は独ソ戦の英雄だった。高いビルから少年をロープで吊り下ろし、敵の戦車の上に着地させる。そこから内部か、砲座のすぐ下の隙間に火炎瓶を投げ込み、爆発の直前にロープで引き上げられる。この手法でイワンは7台のパンサーを使用不能にした。(41頁)
・イワン・イストチニコフ少年は独ソ戦の前、ツィオルコフスキー(科学者)と会った。地元で有名な「気違い教授」(無害で子供を楽しませる)は、訪問した子供たちに「将来、君たちの誰かが宇宙に行くだろう」と語った。また「ロシア正教寺院の丸屋根の形から、大気圏突入の入射角を閃いた」など語る。(47頁)
・「ロシア人と熊は毛深いほど立派」(50頁)
ソ連初期の無人人工衛星は通信実験に人の声を録音したものを積んでいた。アメリカはそれを本物の宇宙飛行士と信じ、ソ連宇宙飛行士が死亡したとプロパガンダを流した。(53頁)
・イワン・イストチニコフ宇宙飛行士の死亡事故を糊塗しようとイワンの妻に言い聞かせる台詞。
「一人の男の名誉など、一国全体の恥と比べたら、どんな意味があるだろうか」(54頁)
ソユーズ1号。次々と襲いかかるトラブルに手動で対応するコマロフ宇宙飛行士。どうにか大気圏突入したが、最後パラシュートの紐が絡まり地面に激突して死亡。
通信を傍受したアメリカの諜報機関によると、コマロフは こんなとんでもないポンコツに乗せた全ての人間を罵りまくっていた、という。(98頁)*1
・エフトゥシェンコの詩(抜粋)

そして一人の男が死ぬとき
彼の最初の雪も死ぬ
最初の口づけも、最初のけんかも
すべては彼とともに消える。

(113頁)
・宇宙飛行士の健康を地上から見守るヴォローヴィチ医師はチェスの名人だった。
医師は通信を通して宇宙飛行士と勝負し、心理的効果の為、勝ちを譲った。医師が追い詰めた後、うっかりと間違いを犯して逆転負けすると、勝ちを拾った宇宙飛行士が現実にも その楽天主義を転用するとの事。
わかってはいたのだが、医師はイワン・イストチニコフ宇宙飛行士との勝負につい本気となり、勝ちを誇ってしまった。その後、イワンは帰らぬ人となったが、原因の一つと推測されたものに"宇宙飛行士のうつ状態"が挙げられた。(135頁)
・地上との通信
イワン・イストチニコフ宇宙飛行士「地球の周りを青みがかった光の輪がとりまき、それがしだいに暗くなってゆくのです。トルコ石の明るい青から、暗い紫になり、ついには炭のような黒になる。空全体の暗さもまた印象的です。空は深い黒で、同時に太陽の光にまばゆく輝いている」(182頁)
ソユーズ3号はソユーズ2号との再ドッキングしようとする。その時にはソユーズ2号のイワン・イストチニコフ宇宙飛行士は既にいなかった。ただソユーズ2号の4m後方にウォッカのビンが浮遊していたという。そのビンは回収できなかったが、何らかのメッセージが入っていたのでは、とソユーズ3号の宇宙飛行士は考えている。
またソユーズ3号の宇宙飛行士は、宇宙人によってイワンが誘拐された可能性も文書で言及している。(194頁)
感想リンク 美しい暦BLOGさん
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すいません。ノンフィクションかと思って今まで上記書いてましたが、
全てフィクション
だそうです。(最後の赤い頁の一番下の文章参照)
紛らわしいよっっ。
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関連リンク はてな匿名ダイアリさん
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*1:このくだりは長い間、全てフィクションかと思っていたのだが、コマロフのソユーズ1号が失敗した経緯としては正しいらしい。通信を傍受した辺りは作っているのだろうが。