八月の砲声 上 (ちくま学芸文庫)
「八月の砲声」上巻 バーバラ・タックマン(図書館)を読む。面白い。
第一次世界大戦を描く歴史書。著者はアメリカ人。筑摩叢書版で読んだ。
読んだ感じが「銀英伝」に似てる。登場人物の性格の決めつけとか、登場人物の挿話の長さとか。
1章 独包囲網に貢献した英エドワード7世の葬儀。街灯を黒い布で覆い弔意。
『大いなる幻想』*1が出版され欧州でブームに。各国が経済的に依存している現状では戦争なんて割に合わない、という趣旨。
2章 独の戦略。この辺りから地図が必要となってくる。
武装国家』出版。独軍人の著書。武器と戦争こそ偉大な独の根源。攻撃の有効性。
3章 仏。くすんだ色の兵服への拒否反応。「赤いズボンこそフランス兵だ」。格好の的。勇将ジェラール的フランスか。
4章 英国内の温度差。
5章 露。上巻では露は、あまり目立たない。
6章 独。露仏と開戦。二面作戦を避けたかった独皇帝だが、独軍人に押しきられる。
伊と独の同盟は『防衛戦に限り、同盟国と共に戦う』という取決めだった為、伊は独の為に戦わず。*2
7章 仏英。英国内の帝国主義者とリトル・イングランダーの争い。リトル・イングランダーは国外ではなく国内の問題に傾注しようと考える。彼らは独仏の戦争に介入する気は無かったが、小国ベルギーが巻き込まれる場合は考えを変える。
当時、欧州で徴兵制度を実施していないのは英国だけ。
フィガロ紙編集長殺害事件。フィガロ紙が仏蔵相を紙面で攻撃。蔵相夫人が編集長を射殺。
8章9章 独が仏侵攻の為、ベルギーを通ろうとする。独が仏に勝った後、ベルギーから撤兵し補償する約束をするが、ベルギーは信じない。上巻の主役はベルギー。
10章 地中海海戦。独艦がトルコに到着した事で、トルコが独陣営として開戦の意志を固める(?)と書いてるように読める。
トルコのケマル・パシャ海相だった頃、英のチャーチル海相
11-13章 独、抵抗されても簡単に通過できると思ってたベルギーで機関銃の餌食となる。ベルギー軍は兵を温存しつつ撤退。
仏、アルザス・ロレーヌ地方を奪還しようと攻めるが、思うように侵攻できず。
英参戦。仏に派兵された英軍が仏軍と協調行動できるかという課題。少ない英軍は何処に配備されるべきか。
英軍から見ると、仏軍は"共和主義化"していて、出身階級の低い将軍が多く、やりにくい。
第一次世界大戦だと、皇族が率いる軍(なになに方面軍というか)もあるようだ。
下巻に続く。
人物表ほか
カイゼル 独皇帝。ヴィルヘルム2世。
モルトケ 独将軍。有名なモルトケとは別人。
ルプレヒト 独第6軍司令官。バイエルン皇太子。
OHL 独軍総本部。
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アルベール王 ベルギーの賢王。
アンヴェルス 都市。アントウェルペンの事っぽい。地図でさんざん探したorz.
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ジョフル 仏総司令官。
メッシミ 仏陸相
ポアンカレ 仏大統領。
ヴィヴィアーニ 仏首相。
GQG 仏軍総本部。
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フレンチ卿 英派遣軍総司令官。
キッチナー 英軍人。フレンチ卿を派遣した。
チャーチル 英海相
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上記は俺が下巻読む時の参照用。下巻リンク
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関連リンク ワラノート やるおで学ぶ第一次世界大戦 〜開戦前夜編〜
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*1:ノーマン・エンジェル著。1933年にノーベル平和賞

*2:日米安保はコレで良いんじゃね。