ブギーポップ・クエスチョン 沈黙ピラミッド (電撃文庫)
ブギーポップ・クエスチョン 沈黙ピラミッド」 上遠野浩平(新刊)を読む。面白い。
異能力バトルラノベのシリーズ最新刊。組織の中枢関連では無いハナシなのでこの巻での完結性は高い。
上遠野浩平の小説は"キング オブ 中二病"なのかな、と最近考え出した。中二病の定義は、「思春期特有の知恵熱で、その時期を過ぎると何でそんな事にこだわっていたのか忘れてしまう類いの混乱」としとく。(本当の中二病の定義は違うのかもしれないけど、ココではそういう事にしておこう)
近刊の「しずるさんと無言の姫君たち」や「ブギーポップイントレランス オルフェの方舟」では、"えっ、そっから躓くの?"と言いたいほど原理的な、シンプルなテーマを描くようになってた。
「どうして、いつか死ぬのに、今生きているのか」
とかね。
で、この最新刊。まず目次が
Q1『死神ってなんですか?』
Q2『生死ってなんですか?』
Q3『真実ってなんですか?』
Q4『失恋ってなんですか?』
Q5『仲間ってなんですか?』
Q6『友情ってなんですか?』
Q7『絶望ってなんですか?』
Q8『記憶ってなんですか?』
Q9『世界ってなんですか?』
Q10『正解ってなんですか?』の10章。重症だ。
などと思ってたらラストは中二病の卒業を予感させる。そこまで描けるから"キング オブ 中二病"なのかも。
または上遠野浩平の新境地か。
ストーリー展開も「しずるさんと無言の姫君たち」や「ブギーポップイントレランス オルフェの方舟」でのシンプルさ*1とは打って変わった錯綜ぶり。
「結局、組織の危惧どおり"汚染"してたのか」の辺りがポイントか。
スプーキーEが"非戦闘系"の誇りを語るのも興味深い。てか、メロー・イエローは情報を訊くなら組織に訊けよ、と言いたい。ホウレンソウ*2の欠無した組織は潰れるって。
非日常を日常に引き戻して両立させる展開も巧い。この両輪のバランス感覚が上遠野浩平は卓越しとる。必須のラノベスキルというか。
バトル能力は真っ先に「結 界 師」を連想したけど、よく考えれば似た能力は上遠野浩平自身が他シリーズで使ってたっけ。
キャラのイラストが誰か極めてわかり難い。
1章扉絵→小森時枝?
2章扉絵→メロー・イエロー
3章扉絵→フィクス
4章扉絵→新刻敬
5章扉絵→スプーキーE
6章扉絵→小森時枝?
7章扉絵→ロデオ?
8章扉絵→真下幹也?
9章扉絵→メロー・イエロー
10章扉絵→館川睦美
だと思うのだけど自信ない。多分ネット巡回後に修正するかと。あと99頁は宮下藤花?
口絵6-7頁"THE TEAM"で眼鏡かけてるキャラがいるなら、本文でも眼鏡の言及して欲しい。頼むよホウレンソウ。*3
口絵4-5頁目"THE SKETCH"は228頁の事だと、さすがにわかった。
.
ラスト、乗り移させるまでもなくストーンズ・キャストで勝利できると思うがなー。真下幹也は、その変な形態のまま生存して欲しかった。
感想リンク 高度に発達した気遣いは、気違いと区別がつかないさん 夢告さん

*1:別に2作品を くさしている訳ではない。美しいシンプルさだった。

*2:報告・連絡・相談。この場合は相談。

*3:あと緒方剛志は小森時枝とブーメランを描き分ける気が最初から無いに違いない。