魔人探偵脳噛ネウロ 11 (ジャンプコミックス)
魔人探偵脳噛ネウロ」11巻 忘却と再生 松井優征 (新刊)を読む。面白い。
「電脳戦最終局面」「家具調達」「弥子返済前半(幕間)」収録
90話は実質上の最終回だ。ここで終われば実に奇麗に幕を下ろせたろう。これ以上の最終回がシリーズとして果たして望めるのだろうか。
しかし4巻弱の長丁場をなんと精緻な計算でまとめ上げたのだろうか。連載誌巻末のコメントの

今年はほぼ計画通りに描けた1年でした!

に全面的に肯いてしまう。そして前巻巻頭コメントの

連載前は「続いても10巻まで」と思って

とか

自分のような新人漫画家には自らの意思で止まれる足を持つ権利を持っていません

を読むと不思議な気になる。やはり90話エンドがベスト(多分10巻でまとめてた)という勝手な思い込みの傍証を得た気にもなるし、ここまで冷徹に開き直っていて、今回抜群の構成力を見せた作者なら、あっさり次の頂上へと読者を導いて杞憂を打ち破るような気もする。
さて89話。
・若い春川は天野喜孝風だ。
・「10/18に生まれた1人」から「1を1018で割った」刹那と命名*1最小単位リンク
つまり0.000000000000000001。
刹那の被試験者番号は010。春川は10年に1度の天才。1と0。1と0。
・蝉の幼虫が養分を吸い取られ、成虫になれず別のモノになってしまう冬虫花草の絵。せつない。
・89話最終頁の刹那は泣いていないし、89話90話の春川も泣かない。
で90話。
・「間違えれば国中を危険にさらしてでも助けたい奴が」…はい告白タイム始まりました。奴、奴ですよ。しかし、このメンタリティは作者女性ではないのかな。
・ヒロインが殺人(に類する行為)をするのはやっぱり重い。多分2度は無いんじゃないかっていうくらい重い。(あとシチュエーション的には4巻の「慰めた後犯人指摘」とちょっと似てる)
・漫画史上に残る白紙のひとコマ。
・90話ラス前頁 ネウロ1話目の台詞ふたたび。ここでまた「1」が出るか。90話のサブタイトルは「0」
・90話ラスト頁 「日付も変わった」と大きく割れた窓。「日付」の長い伏線の結実もさることながら、大きく割れた窓も効いてる。無理に言葉化するなら
「弥子ネウロが帰る場所がある事の示唆」か
「箱に閉じ込められていた春川(HAL)の解放」か
「電脳世界を長くさまよった読者に向けての星空。人工→自然。窓が暴力的に割れているのも非人工=自然をイメージした出口」か。
星空だけでなく、地上の建物の光も結構見えてて、描き込んでる、描き込みすぎだよ、と泣きたくなる。
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で、この巻の最終話97話で引っ繰り返す。90話全否定。
「本当は善い奴だった」ていう「そんな半端な悪たおしても」発言で超矮小化。
あれだけ感動させておいて否定するなんて、どんだけ天才なんだ松井優征!
というか、次の巻ではなく この巻で90話を否定する必要があった。次巻にも期待を繋げる為の冷静な構成計算。連載は続かなくてはいけないし、計算は永続していかなければならない。
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蛇足90話つっこみ あんだけの長い回想と大量データ消去は合わせて5分か。


感想リンク 生きるために食べろさん 有無さん もっとストーリーをさん 2ちゃん(90話あたり) HAL刹那AA
キーボード上に猫を走らせるリンク 屑千代日記さん
家具リンク IKEA 大塚家具
葛西善二郎リンク↓

(毎日ニコニコさん経由)
次巻リンク

*1:刹那はナノの109倍小さい。またピコの106倍小さい。