情と理 -カミソリ参謀回顧録- 上 (講談社+α文庫)
「情と理 カミソリ後藤田回顧録」上巻 後藤田正晴御厨貴(図書館)を読む。面白い。
警察官僚から政治家となり、自民党の副総理にまでなった男、後藤田正晴のインタビュー形式の伝記。
パトレイバー」のキャラ、後藤隊長の名前の元と思われる。
「血のメーデー事件」で、デモ隊が進駐軍の車をみんなひっくり返し、火をつけた事に対し、警察官僚の後藤田が吉田茂首相が怒ってないか、首相の秘書官に聞いたところ、首相はニヤっと笑って「日本人も、君、なかなかやるね」と言ってたとの事。
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軍隊と警察は違う。軍隊は「先手必勝」で警察は「後手で先を取れ」なんだ。後手で必勝は「情報」に尽きる。
警察力は最小に留める。それが「セキュリティ・ミニマム」の原則。住民500人に1人の警察官が必要と算出した。
次に「警察比例の原則」。相手の対応に応じて最小限の警察力しか使わない。圧倒・殲滅は避ける。
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アイゼンハワー大統領の訪日の時、ある有名な政治家が暴力団を警備にあたらせる事を提案した。勿論却下。
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大学紛争の時に、罰則強化は有効か尋ねられた後藤田は、「ああいうのは確信犯で、罰則を強化すると確信を強めさせるだけだ」と却下。
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新聞記者は刑事の子供の家庭教師になってまで、ネタをとろうとする。
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最近の警察についての苦言
別件逮捕が多すぎる。
・起訴しても、拘留する必要がないのに未決のまま放っておく。保釈しない。長すぎる。
・意味のない見せしめの強制捜査。ひとつの役所・会社に100人以上乗り込んで、何百箱と押収する。持ってきて読めますかって言ったら読めない。一体取調官は何人いるの?ってハナシだ。
・捜査内容も漏れすぎる。リークの疑問すらある。
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政治の世界に行き、田中角栄首相から「最近、教師の質が悪いから、教師の待遇を良くしろ」と指示され、後藤田は実行する。