漫才病棟 (文春文庫)
「漫才病棟」ビートたけし(図書館)を読む。面白い。
自伝的小説。演芸場での下積み芸人を描く。
文体がビートたけしの語り口調に近く、たけしの声で脳内読みも可能。ツービートの漫才も懐かしく思い出せた。
セカイ系*1として本書を読んだ。演芸場を「世界の最底辺かもしれないけど、ここが無くなれば世界の底が抜けるぜ」という劇場支配人と「底が抜けたってかまわない。明るく悲惨に365日やってれるか。脱出するぜ」という芸人の主人公。「脱出」の象徴として漫才の「出」が扱われている。
「ようこそ、いらっしゃいました」
この漫才の「出」をいつもと変えて斬新にしよう、もっとお客を惹きつける「出」にしようと主人公は何度も考えるが結局いつもどおりにしてしまうもどかしさ。この辺は停滞を描く青春小説ぽい。
あと193頁の

笑いなんてしょせん仲間内に受けるか受けないでさ、仲間じゃないやつを笑わせようとしたって無理ってもんだ

は深い。

感想リンク 夜型市原さん
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*1:セカイ系=世界を疑い世界と対峙する作品