上杉鷹山の経営学―危機を乗り切るリーダーの条件 (PHP文庫)
上杉鷹山経営学童門冬二(古本)を読む。面白い。
米沢藩を建て直した藩主、上杉鷹山の解説書。
米沢藩はあまりの財政難に鷹山の先代は藩を幕府に返上しようとしたと言う。
養子の上杉鷹山が江戸から初めて米沢藩に藩主としてお国入りする時のエピソードがファンタジーめいている。
そのあまりの貧しさ、半ばゴーストタウンと化した藩内に鷹山は希望を失う。改革を江戸で考えていたが、若く土地を知らない自分にはとても無理だと悔恨する。目の前の煙草盆の灰をつかみ、「米沢藩は つまりこの灰だ」と独り言を言う。「この冷たい死んだ灰に種を蒔こうと何が育とうか。全て芽を出さず死に絶えるのだ」
が灰の中に火種を見つけ、鷹山の目が輝く。その火種を炭に移し火をおこす。
江戸から連れてきた家来に火を分け、「お前たちが改革の種になるのだ」と演説し、改革が成功するまで各々火を絶やさせないよう誓わせたとの事。
また鷹山はお国入りする前、トラブルメーカーの為、江戸に左遷されていた藩士たちに改革案を出させた。
同時にトラブルメーカーたちに「まずお前ら自身が変われ。そうでなければ誰も改革案を見向きもしないだろう」と条件をつけた。
なんとなく、小沢一郎民主党党首となった時「民主党の前に、まず私が変わる」と言ったのを思い出した。(どっかの新聞が言及した?)
建て直した手法は まずバッサリと経費削減。米作一辺倒から商品作物への転換。商品作物の商品化。それをまず武士が手ずから行う。反対した守旧派家老の切腹などの処置。鷹山はこれらを20代から30代で行った。
列記すると結果はドラスティックに見えるが、結果に至る手法は日本的というか浪花節っぽいかんじ。
鷹山自ら一汁一菜とか。
鷹山が領内を視察する事になったのだが、普段通りを見たいという事でお触れを出した。
・御道筋は掃除不要
・盛り砂も不要
・農作業をしている者は御通りだからといって蓑笠を脱いで農作業を止めてはいけない。
・御泊りの宿は食事は上下の別なく、全て一汁一菜。
お触れを聞いた農民は疑い、これは我々を試していて、お触れの通りしたら罰せられると思い、掃除を始めたと言う。俺でもそう思う。役人が必死に掃除を止めさせたとの事。