空白マウスあて

ネコソギラジカル(下)青色サヴァンと戯言遣い (講談社ノベルス)
「精神と才能とを持たせて、私を、ロシヤなんかに生れさせたのは、悪魔としか思えない」(プーシキン)
ネコソギラジカル(下)西尾維新(新刊)を読む。面白い。
上中下巻完結。シリーズ完結。
ミステリ…ではないよな。キャラ小説と言えばそれまでだけど純文とか詩に かするものがある。
上中下巻を読み通して思ったのはロードムービーと似たような構成だな、と。妙に具体的な例を挙げれば、沖縄本島イナカで運転免許合宿をして、合宿が終わったら那覇のドミトリーで寝泊りし、その後屋久島で数泊した後、九州を原付で縦断する旅をしたとしたら、全部で一つの旅には違いないのだけど場面場面で明確に印象が切り替わってるかんじ。事件に寄り添うのではなく、一人の人に付き従い、頁は進む。
示されたのは「普通のエンディング」だった。いや、むしろ終わっていない。ロードムービーがそうであるように、中途のシーンにこそ描かれていたモノがあった。ドン詰まりの最後は「描写」ではなく「説明」が必要とされてしまう為、おとなしくなりがちだ。中どり無ろ過*1
「世界を救う」意志は「人を殺す」意志との抱き合わせ商品だったのだろうか。
「世界が終わる」「
共有できる世界がない」「一緒に世界を敵に回してくれる人を
とかの無力な若者を(とろ)かす言葉群とキャラの全能感あふれるが為に同じく読者を蕩かす言動。その天と地。最上のラノベ
そのシリーズが終わるにしては軟着陸(ソフトランディング)と言ってと良い やさしい終わりの上中下巻だった。一番の盛り上がりポイントはヒトクイマジカル」の説得シーンだった気もする。今回の上中下巻、始まる前に終わっていたのか。
あと狐面のキャラ付けが下巻で弱かった気もする。「言霊返し」少ないし。
あと兔吊木さん出なかったなー。期待してたのに。
あと

それこそが、本音のような、あっけなさだった

て五七五だな。続く台詞も俺に数えさせりゃ七七だ。(49頁)
あと「脾肉を当座の花にして」→「なまった事が嬉しい。どうせ一時のことだけど」かな。
あと みっちゃんて誰だ。(42頁)
ひっくり返されて、「そういや世界なんて終わるわけないか」という結論を本巻は言ってない気がする。パラ読み再読すると、けっこう世界は終わりそうだった。
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感想メモリンク 魔王14歳の幸福な電波さん 無知蒙昧の紙魚日記さん シナアビさん 飲むヨーグルトの新しい生活さん みずこキッスさん 同方向の日記さんの
その1その2 夕暮れナンセンス ネクサスさん
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http://maname.txt-nifty.com/blog/2005/11/nekosogi.html

*1:中どり無ろ過=もろみタンクから酒をしぼる時にしぼり始めと終わりを省いた一番ええ所だけの酒