禁涙境事件  ”some tragedies of no-tear land”
禁涙境事件」 上遠野浩平 (新刊)を読む。面白い。
上遠野浩平の場面転換、乙一のユーモア、西尾維新のたたみかけ」というふうに三人の旗手の能力を分析している。これは何についての能力かと言うと「読み進ませる能力」だと最近気付いた。上遠野浩平の能力を仮に「スイッチ・バック」とでも呼ぼうか。
今回、彼のスイッチバックは俺にはそれほど作動せず何回かに分読したが、充分面白かった。
まず気付いたのはそれぞれのレーベルによって意識的に書き分けをしてるのだな、という事。ビター(ほろ苦さ)なのが作者の基調だが、それでも砂糖菓子のようなしずるさんシリーズ()や少年の甘さが残るブギーポップシリーズほかよりも事件シリーズはアダルトだ。(ビターと同時にスウィートなのもご存知彼の持ち味ではある)
禁涙境という都市のクロニカル(年代記)に挑戦し、なおかつ現在のED(主役)と絡めてスイッチバックする話。殺人事件とか都市の謎とかあまり深く考えるとちょっとアレです。そんなことより読後気になったのは残酷号(新キャラ)が強すぎて世界バランスが崩れるんじゃないかの事。
EDが仮面を脱ぐとどうなるかって結局、自分に「いたいのいたいの飛んでけ」の呪文(自己暗示)をかけられるって事なんでしょうか。
最後で芸術談義みたいな話になるけど別に皆に誉められたくて媚びた表現になってしまっても、それが受け入れられるならOKの気がします。よくわからんがガンバレ!カドちんと思いました。(ひぐちアサの「ヤサシイワタシ」でも そんな話あったな)俺の短歌は誉められようなんて思ったことないけど。
感想メモリンク
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