短歌

リノリウム 叩く下駄音 ダイエーの 地下一階の 少女の遊歩 →c39

快速で帰る夜。梅雨。弱冷の 背を扉に向け 腕の腹に冷たさ →c38

「適当に 食べて」カラダを 横たえる 君の刹那と 僕の屈折 →b19

神様や 友情等(とう)を 信じない。6月生まれは 少し信じる。 →c37

点滴のようにハナシを途切らせず ゆっくり軋む世界眠たい →c36

君を呼ぶ 呪文数列 知っている 知っているけど、電話と弱虫 →b17

マンションの 看板を持つ 一月の 陽の光の 出し惜しみやがって →c35

停止した 春の時間の 陽だまりで 髪を透かして 虹を見ること →a17

同型の 腕時計あり、吊革に。唯一違う 赤い秒針。 →c34