・「少子化対策は妊娠中絶問題から」 自民・野田総務会長 - 朝日新聞
・「少子化対策は妊娠中絶問題から」はミスリード。野田聖子議員はいいことを言っている。 - Handmade Future!
・自分で自分の首を絞めるのを止めて、個人主義をコントロールしようぜ! - Handmade Future!
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野田聖子議員を擁護する気にはならないなー、というのが結論。
最初の朝日新聞記事の方が、まだ頷ける。「中絶が必要ない社会、産もうと思えば産める社会を目指せば、中絶数は減る」と取る事もできるので。
しかし、Handmade Future!さんで読んだ野田聖子議員発言は

1年間の中絶件数は公称で20数万人と言われています。保険適用外なので実際には2〜3倍近い堕胎があるのではないかと、NPO非営利団体)法人などが言っています。変な話、これを禁止したら、産まざるを得ない人が出てくる。
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 もちろんこれは相当極端な話で、現実には難しいです。私が言いたいのは、それぐらい「えぐい」テーマにしないとだめだと言う事です。今は、まだ議論がきれいごとで終わっています。
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 でも即効性を求めるなら、20万人のうちもし半分が中絶できなければ、10万人が生まれてきますよね? そういう極端な議論もひっくるめた、本気の、包括的な議論が必要だと言いたいのです。
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 でもそういう真正面の議論は出来ない。自民党はずるくて、「中絶は女性の権利だ」と言って逃げていた。でも本来、女性の権利はちゃんと避妊できることで、中絶できることではない。問題をすり替えている。
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 中絶を厳格化するのと引き換えにピルの自由化をしたら、適正に子どもが生まれてくるでしょう。でもなぜかしていない。ピルが認可されるまでに数十年かかりました。バイアグラは1年ぐらいで認可されたのに(笑)。

と、明らかに中絶禁止(または制限)を念頭において発言している。
それは2つの点でおかしい。
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1つ目。
「中絶は良くない」という考え方自体はおかしくない。胎児にも生命があり、守らなくてはいけない、とする考え方。
もう片方で「産むか産まないか選択する権利がある」という考え方があり、これが日本では主流であろう。
英語でいうpro-life(生命)とpro-choice(選択)にあたり、論争の争点となっている。
しかし、少子化問題の流れで「中絶禁止」を言い出すのは場違いもはなはだしい。チャウシェスク呼ばわりされても仕方がないだろう*1
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2つ目。
(『』内↓野田発言)
『でも本来、女性の権利はちゃんと避妊できることで、中絶できることではない。問題をすり替えている。
中絶を厳格化するのと引き換えにピルの自由化をしたら、適正に子どもが生まれてくるでしょう』
前半は正しい。良い事を言っている。
が、後半がおかしい。『避妊する権利』が守られたからといって、バーターで『中絶する権利』を制限しようと持っていく論理は到底理解できない。この人は何を言ってるのだろう。
確かにセイフティネットとしては『避妊する権利』が先だろう。第1の網。…しかし、第1の網ができたからと、第2の網を取っ払っては、政策の目的は何なのか全く意味不明だ。
技術改良で交通事故のダメージが軽減できるのに、わざわざ交通事故死者数を維持する為に法整備するくらい意味不明だ。
結局「少子化問題」で、『中絶を厳格化するのと引き換えにピルの自由化』という事は
避妊→出産減
中絶制限→出産増
で、「政府が増やしたい子供の数だけ女性の権利を制限する」と言っているに過ぎない。傲慢で荒唐無稽だ。
結論:少子化問題で中絶禁止(制限)を話題に出すのは相当に頭が悪い。
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前回リンク

*1:労働力を増やすために避妊と堕胎を禁止し、女性は4人以上の子どもを産む事を推奨。