TIME/タイム 2枚組ブルーレイ&DVD&デジタルコピー〔初回生産限定〕 [Blu-ray]
「TIME/タイム」観た。面白かった。SF映画
シネコン平日1発目1200円。*1
このザックリとしたSF感は「第9地区」の監督の人かと思ったけど違った。アンドリュー・ニコルが監督で、「トゥルーマン・ショー」の脚本を書いた人。ちなみにヒロイン(アマンダ・セイフライド)は日本でいうとMEGUMIのイメージだな。
以下設定バレ。一応俺自身も本作を観る前に知っていた設定なので行間あけず書く。
人類は25才以上、加齢しないようになった。そして時間が通貨となり、貧乏人は25才を過ぎるとすぐ死に、金持ちは持ち金に応じて莫大に生きる、そんな世界。
以下感想。
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時間がお金で買えるというのは現実世界でも普通の事だ。金持ちはタクシーを使うし、貧民はなるべく歩く。
この映画、SF的というか、経済学的に面白い。主人公の住む貧民地区はインフレがひどくて生き辛いけど、それでもまだ他地区よりは物価が安いのだろう。持ち時間が少なければ少ないほどシビアに物価が安い場所を選ぶ必要がある。だから地区によって明確に貧富の差が違う。また物価を上げれば(又は賃金を下げれば)貧民の数をマクロに調整できる構図を現実よりわかり易く映画で表現している*2
ちょっと最初わかりにくいシーンがあって、主人公と母のシーン。母が、その夜死んでしまうにしては悲壮感も無いし、当初焦ってもいなかったのが不思議だったのだが、主人公は日払い・主人公母は週払いという賃金形態だったのかなと推理してる。母はバスで帰ってこれれば日払いの分をシェアして延命し、その後に母の週払いの分を主人公とシェアするという家計。ただこの"主人公と母のシーン"と対になる終盤の"主人公とヒロインが駆け寄るシーン"では「何で自分の分のお金をとっておかなかったの?」という疑問は解消されないだろう。ホントに母とのシーンと対にしたかっただけという演出上の理由かと思う。
「さまぁ〜ZOO」2/16で、さまぁ〜ずイワイガワの事を「斬新とみせかけてベタ」と評していたが、この映画も「斬新とみせかけてベタ」かな。古い物語をSFにする事で現代性も獲得した。オーウェル著「パリ・ロンドンどん底生活」の中で「金持ちは貧民が時間を持つ事を恐れているのだ。だから愚にもつかない仕事、やるに値しない仕事を貧民に与えて、貧民がモノを考えさせないよう努めているのだ」という結論*3に達したののなぞりでもある。
最後はヘリコプター・マネーともいえる解決策で、是非リフレ派と呼ばれる人にも観てほしいな、と。リフレ派に限らず、経済学を好きな人は必見。
感想リンク honkyochinikkiさん
連想アニメ グレンラガン
連想書籍 
43才でもなぜ武田久美子でいられるのか
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蛇足感想 駐輪場の無料時間が"上映時間後に走ってギリギリ"だったら、作品に沿った劇場側の演出だったな。

*1:久しぶりに櫛引のほう行こうかと思ってたのだが、寝坊で新都心に変更。

*2:これが現実ではどうなるかというと貧民は調節されてはたまらないので革命やら暴動が起きる。悲惨指数(インフレ率+失業率)が高まったエジプトや英国を参照。

*3:彼が実際に貧民生活を体験して得た結論。うろ覚え。