参院選分析

  選挙結果→参議院選挙2010 - Yahoo!みんなの政治
参院なんて無視すれば良い()と言ってた俺だけど、なんか書いてみる。
・民主敗因
普通に菅首相の「消費税発言」と読む。
衆院選挙の前に『消費税上げる』マニフェストで戦って勝たなければ消費税上げない」
という方針は変わらないのだから、参院選前に「自民党案の消費税10%を参考にする」と発言する意味がわからない。
消費税を含めた税制について党を超えた話し合いを持ちたいと思ってる。これは理解できる。
ただ政府与党が自民党案の消費税10%を参考にする」と発言すると
a-協議しあう前に何故数字が出てくるのか。"協議した"というアリバイ作りの為の協議で最初から数字は決まっているのではないか?
b-自民党の試算である10%ではなく、民主党が本来考えている数字は何%で何の根拠があるのか。ひょっとして民主党には政策立案能力は無いのではないか?
と、2つの疑問が生まれてくる。(2つの疑問同士が矛盾してるけど、それぞれ別の人が疑問を思いついたという事で勘弁願いたい)
要するに
A案「税制の枠組みについて話し合いたい。担当者を決めてくれれば喜んで政府情報は提供する」と数字を隠して呼びかけるか
もしくは
B案「民主党案としては何%を考えているが、税制の枠組みについて話し合いたい。担当者を決めてくれれば(略」と民主党案を示して呼びかけるかするべきだっただろう。
ちなみにA案推奨。野党が消費税10%と公言するのと与党が消費税10%と公言するのは実現可能性が全然違う。首相が消費税税率を公言したなら職を賭して衆院選挙で信を問うべきだと思う。消費税に関する菅発言は野党気分が抜けないままの放言だったと言わざるを得ない。
菅首相の思考をトレースするなら「自民党案の消費税10%を参考にする」は奇兵隊的発想なんだろうなー。民主党に対する支持率がV字回復すぎたのも、この発言を招いた素地だろう。環境、慢心。
まあ、民主敗因は「単に今までの政権運営が採点された結果」なだけで、上記のような重箱片隅的な理由ではないかも、とも思ってるが。
みんなの党 勝因
自民が自壊して政党が複数誕生したのだが、勝ったのはみんなの党だった。
最大の勝因は先制アドバンテージだと思う。離党が1番早かったから。
党首の若さとか候補(タマ)が人寄せ有名人では無いとか他にも色々考えられると思うが、何よりも先制アドバンテージかと。
渡辺喜美党首については安倍政権時、公務員制度改革を担当して特に成果を出さなかった人という印象があるので、みんなの党自体に優れた政策立案/実行能力があるとは思えない。安倍政権時代の人材バンク*1とか訳わからなかった。
"たち日""改革"といった自民分裂の政党が生まれたのは前回衆院選時のみんなの党の成功を横目で見て"2匹目のドジョウ"を狙ったのではないかと想像するが、受け皿として有権者の頭に先占していたみんなの党だった、という話。
・選挙区と各党選挙戦略
小沢幹事長の選挙戦略も間違ってた訳ではないのだな、と。
谷亮子の擁立も小沢の手柄だろうし、2人区の複数候補擁立も共倒れは出なかった。結果論だけど。
というか、「2大政党制下で2人区とか意味あるの?」という疑問。これ、同党内の複数擁立も無くて比例投票も無かったら絶対選挙に行かないな、俺なら。
自民党は2人区で複数擁立してないのはわかるけど、3人区でも単独候補が多いという弱気。複数候補は千葉県くらいなものか*2。3人区で公明の立候補が少ないのも意外。
結局、1人区で野党勢力がなんだか結集できてしまった事が自民党の勝利につながった…という事なのかなー。テレ東の選挙番組で竹中平蔵が「自民党は何も変わらないで勝った。これは自民党にとって不幸なことだ」(うろ覚え)と発言してたのが興味深い。
・今後の政局
枝野幹事長が責任をとって辞任するなら、「三日天下」と書かれたTシャツを着て京都まで行脚して欲しい。何となく。(→2ちゃんまとめリンク)
参院で負けて菅政権が続行すると安倍政権の二の舞になる、といった予測をどこかで読んだが「それは時代が違う」と思う。
安倍政権時は選挙で政権が変わる時代ではなく、"支持率低下"や"衆院選ではない泡沫選挙"で民意を占い、辞任するという擬似民主主義システムだった。野党が選挙システムに基づいて与党にとって変わるのではなく、与党の中で自発的に辞任をして後を継がせるというシステムのレア国家だったのだ、日本は。
安倍政権は参院選敗北後、政権を続行させることで今までのシステムを崩し、新たな『選挙で政権交代させる』システムを招いてしまった、とも言える。「あ、参院選で政権は変わらないんだ。そういえばシステム上は そうだよな。じゃあ、衆院選しかないのか」と擬制は打ち砕かれる。さすが、安倍首相 長州出身。戦後レジームの脱却に成功した。
今回の「政権交代すぐ選挙」の鳩山戦略は過去に福田政権が採ろうとした戦略でもある。麻生政権支持率は最初から最後まで50%を超えた事がなかったので()、選挙直前50%だった菅政権が敗北したのを考えると、麻生政権は いつ解散しても常に敗北必至状態だったのかも。(この辺は単純な数字比較なので異論は認める)
菅政権の今後だが、参院選は負けて良かったとも言えるかもしれない。強行採決地獄が止まるなら。*3
今日の午前中ニュースで河野太郎(自民党)がキャスターの「民主党はドコと組むでしょう」発言に対して
「与党は野党と法案について話し合い、野党の指摘も受け入れる状態が普通。"ドコと組む"思考は法案を無理に通そうとする前提の間違ったパラダイム」(大意)
と発言してた。綺麗事かもしれないが一応、参考に。
参院選リンク satologさん そのことを考えている。そればかり考えている。さん 坑外のカナリアもさっき死にましたさん extra inningsさん 極東ブログさん
当落メモ
当 三原順子(自) 白真勲(民)*4
落 マック赤坂*5 簗瀬進(民)*6 河合純一(み)*7

*1:全官庁まとめて天下りあっせんの組織を新設する

*2:民主・自民・みんなで3議席

*3:鳩山政権で社民党が離脱した時も、「社民党が『是々非々で望む』なら普天間/消費税以外は大抵は衆院2/3で通るんじゃないか。今まで政権内部にいて一緒に法案を作っていたんだから」と思っていたんだが、この辺どうなんだろ。"不信任案には賛成するけど、与党と選挙協力はする"というスタンスがわかりにくいんだよな。

*4:2003年に帰化した朝鮮日報日本支社の人。東京。

*5:この前、脱税で捕まってなかったっけか。東京。

*6:新党さきがけメンバー。栃木

*7:全盲パラリンメダリスト。教師。静岡。