惑星のさみだれ 9 (ヤングキングコミックス) 
惑星のさみだれ」9巻 水上悟志(新刊)を読む。面白い。
バトル漫画。前巻リンク 次巻リンク 編集:安達亜未。
長い伏線が結実するのは楽しい。心ふるえる。
古くは「気分はグルービー」最近では「ネウロ」「SKET DANCE*1で長い伏線が結実するのを見た。数年越しのアイデアが不発にならずに見事回収されたというキセキは、長年応援してきた読者へのご褒美であり、何を描きたいか何を描いてきたのか明確な指針を持ちつづけていた作者だけに許された収穫イベントでもある。
惑星のさみだれ」9巻を読み、続けて1巻を再読した。つまり多くの読者がするであろう行動を取ったが、やはり気付かされる事は多かった。
1巻で示唆されていた主役2人、雨宮夕日と朝比奈さみだれの因縁が明らかになるのだが、
1巻2話の「信じとる」「信じる信じないを気軽に口に出す奴はキライだな ぼくは」は
9巻55話「信じる信じないをに口に出す奴は 人をだますやつだ」
に繋がる訳か。つまり"行動で人を信じさせろ"という話であり、それが1巻2話のさみだれの行動に通じる、と。
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次巻が最終巻。
戦いも佳境に入り、今までのメッセージも再利用され、ますますクライマックス感を強めていくのだが、契約の際の"願い"について9巻はわかりやすくメッセージしてた。以前にもフクロウが「子供だものなァ 未来が欲しいに決まっておろうにな」「好きな夢を見よ」(以上7巻)と関連したテーマを語っていたが、違う形でよりわかりやすく。
"願い"の有無によりキャラは二分される。雨宮は登場時「平穏と退屈」が望みなので"願い"は無いと言い切る。さみだれも"願い"を問われた最初は虚無的だ。茜太陽(フクロウの騎士)も"願い"を探し続けていた。獣の騎士団の中で陰陽があり、今までのストーリーに深みを与えていた。(宙野花子(カマキリの騎士)の"願い"は「人の死」だったので、"願い"によってキャラを分けるなら特異な位置にいると言える。彼女は別立てで彼女自身の物語が必要だった)
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絵的なことで言うと、ロングの絵が素晴らしい。かつて、ここまで引いた絵を描いた漫画があっただろうか。9巻最後のコマなんか人物全身が小指の爪より何倍も小さいのに絵として完璧だ。このコマの凄さは分かりやすいけど、56話さみだれパンチ後の「倒れる10体目と浮かぶさみだれ」の構図もすでに目一杯に引ききってる。この画力は「ドラゴンボール」が直面してた"強さのインフレ問題"への1つの解答だと思う。山を崩したり、星を潰すほどの力をどれだけのリアリティを持って描けるか、という課題。人間不在で山や星が壊れたら只の"現象"にすぎない。いかに"ロングして人間をフレームインさせるか"、つまり"その力を人に関係させたように描くか"という漫画界の現時点での最終解答であるように思う。(この9巻ラスゴマは風巻(ネコの騎士)の巨大泥人形とさみだれを重ねることで「風巻も本当に彼らに匹敵するような存在なんだな」とも思わせた)
56話のタイトルエンドは「ここで終わり、そしてここから始まる」感があり、ぞくぞくする。単行本派だけど掲載雑誌でも読み返してみたい。
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バトルも非常にお腹いっぱいでした。9巻が今までで1番詰まってたかも。ちょうど今「ディスガイア(ゲーム PS2)やりこんでいるんでピンポイントで熱くなった。しかし、服の破れた白道さん(ヘビの騎士)はコスプレっぽい。
感想リンク 水星さん家さん それはロックじゃないさん マンガLOG収蔵庫さん
pixiv絵リンク 武川 慎さん*2 りょうちんさん だんごむしさん さん 変態下衆野郎赤身さん 壱影さん
特典リンク 特典メモさん
MAD
【手書き】さみだれラッシュ【トレス】‐ニコニコ動画(9)

↑3:42 歌はSUPER BUTTER DOGの「コミュニケーション・ブレイクダンス
ラッシュ動画その他

*1:両方とも10巻前後。

*2:拡大すると尚良し