大塚副大臣・デフレ解決・潜在成長率

11/23 テレ朝昼ニュース
大塚耕平金融副大臣登場。
菅直人のデフレ宣言を受け、番組は「デフレは経済に悪影響」とインフレ率と失業率の相関折れ線グラフを見せていた。*1
大塚は現在の経済認識について「日本だけ株価が回復してない」と憂慮し、デフレ対策については「日銀は金融緩和の余地がまだあるのではないか」との観測を示したが、政府の役割については「(積極財政でデフレ対策するのではなく)将来の不安が消費(需要)を控えさせているので、政府財政が持ち直す事が肝心」と特別な対応を採らない事を示唆した。以上うろ覚え大意。
つまり「デフレは困るが政府は何もしない。日銀もっとがんばれ」。上司の亀井金融大臣はデフレ宣言を利用して積極財政を企んでるのかも。
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デフレに対する俺のスタンスは
アゴラ : 日本は本当に「おカネ不足」なのでしょうか?!?! 前田拓生(学者)
と大体同じ。*2
日本のデフレは構造的な問題なのだと思う。
0%台の政策金利を14年続けても、お金を増やす量的緩和を4年*3試しても

(ユリウスの株式投資 玄人への道さんより 一部改変)
長期国債を大量発行(1998年に小渕内閣が10年国債を約40兆円発行した)しても、基本ずっとデフレだった。*4
つまり日銀の通貨操作や政府の借金バラ撒き*5は長い目で見ると景気に悪効果だろう。長期的な問題に短期的な解決法を用いても歪ませるだけ。
何故日本はデフレなのか?(需要が足りないのか)の答は難しいだろうが、
・高齢化
・所得を増大させていく貧困層の不在*6
かと思う。(定説は無いようだが)
「年を取れば物欲が薄くなるだろう」と「もう日本は富裕国だし移民とらないしな」という話。構造的に解決していく問題。
デフレに対するベストな解決法は まずは子供手当という事になろうか。
そもそも2%台のデフレ*7が優先順位の上方にある問題とも思えない。
生産が需要を上回ってるのが問題なら、工場の国外移転をどんどん進めれば良い。GDPは下がるだろうがデフレは解消*8するだろう。俺はGDPとインフレ率ではGDPを上位の指標として考えているので、その解決法は採らないが。
違う解決法として、生産をいじらずに借金で何とかするという解決法もあるだろう。一時の需要落ち込みならOK。だが需要を上回る生産を借金で何10年も維持しようとしてたら、その会社はかなりアレだ。
会社に例えるのも少しズレるが、生産が需要を上回る場合の解決法として
A:売れる商品にする(理想的。難度高い。無理かも)
B:生産を調整する(普通)
C:借金で何年も生産を維持する(あり得ない下策)
という事になろうか。子供手当は"幻のA"かもしれないが、実需にターゲットを合わせるぶん方向は正しい。→子供手当自リンク
即効性は無いので"デフレ下の経済成長"という路線になる。
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デフレ下でも経済成長は続けていたが、デフレの駆逐は難しかった。量的緩和してたけど。
経済成長時には均衡を崩したくないんで、より一層の量的緩和も量的緩和ストップも難しかったんだろうな。ダラダラ続行。より一層の量的緩和と言っても長期国債の格下げ・ストップ安の経験が量的緩和以前(1998年)にあり、
当時は1回あたり長期国債発行額を2兆円以下に抑えたという経緯がある。(デフレ退治をするのに財政支出の)額が足りなかったという人は1回あたり長期国債発行額を幾らにすれば良かったのか? また国債急落も容認してデフレ退治をするのか訊いてみたいトコロではある。
ちなみに今年12月の長期国債発行額は2兆6000億円と史上最大額を更新予定との事。(訂正 2兆6000億円は2年国債でした。長期国債は2兆円超えの史上最大額の様子)
国別比較として各国中央銀行は自国の国債を 日(13.0%)、米(9.3%)、英(2.5%)、独(0.3%)、仏(0.1%) 保有している。(2005年 2006年 [http://bullbear.exblog.jp/3913671/:title=牛さん熊さんブログ]より)。
日銀は勇気あるなー。
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デフレ下の経済成長率は低すぎる。日本は もっと成長する筈だという噂もある。
ちょっと違うが[http://maishuhyouron.cocolog-nifty.com/blog/2009/11/post-db30.html:title=毎週評論]さんの

そもそも、批判派が何を根拠にして「潜在成長率が低い」という危機感を持っているのかが、よくわからない(潜在成長率の国際比較というのがあるのだろうか?)

を読んで、「潜在成長率」をぐぐってみた。
日本 1%以下。 2009/10 日銀
韓国 4%台。 2009/6
インド 8.75-9.00%。 2009/3
アメリカ 3.1%   2005/8更新 2005-2010のPotential Output
フランス 1.95%(PDF)  2006/10 2005-2010のPotential Output
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まあ、日本の「潜在成長率」が高いという事は無いようだ。過去のデフレ下の経済成長率は高すぎるんじゃないだろか。
潜在成長率リンク マーケットの馬車馬さん satologさん
赤字国債の額が大きいという事は、将来の富を先取りして食べている(早弁のように)という事だから、過去の日本のGDPが潜在成長率よりマシな数字だったのかな、と。…そのぶん将来が悲惨だが。
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*1:あれ、そんなに相関してたっけか? そもそも何の指標使ってるんだと思ったが、よく見る前にフリップは倒されていた。これがインフレ率とGDPのグラフを合わせると別の結果(デフレなら好景気)が出るのだろうけど。

*2:意見異なるのは以下。「銀行は貸出に回さず、有価証券運用や海外投資(今なら中国向け投資など)に使うだけ」は、後半の運用/投資すら潤滑にお金が流れないのが日本のデフレ構造で、リスクを取らず日銀当座預金ブタ積みか国債購入に円は充てられるだろう。まあ海外にも投資するだろうけど。//あと円の自国通貨安政策を行わない理由を経済大国のプライド的な事を挙げているが経済大国は関係ないだろう。何故、日本だけが自国通貨安政策が許されるのか。他国が追随したらどんな混乱が世界に起きるかという問題。

*3:量的緩和は5年間といわれてるけど、グラフ見ると4年だな。

*4:去年、原油値上げの外部要因でインフレ。インフレになると消費が促進されるという俗説が誤っている事が証明された年。物価が体感されるほど上昇すると日本人は生活防衛に走る。

*5:景気最悪期に政府支出を増大/前倒しする効果は認めるが、現在は景気回復期と観測している。指標はGDP。

*6:というより貧困層が増えているからデフレなのかな。

*7:%が高いなら短期的に解決しなくてはいけないが、2%台だと、もし悪影響があるとしても長期に少しずつの悪影響で長期的に解決する問題かと。

*8:この辺どうなんだろう。工場移転して全員生活保護を受ければデフレは解消されるだろうけど、全員が給料同じで より高い生産性の職場に再就職したらデフレは強まるだろう。