ネットと法律

・<コンピューターウイルス>作成者逮捕…適用罪検討に半年(毎日新聞) - Yahoo!ニュース
・いっそネット丸ごと京都府警の管轄に - 雑種路線でいこう
コンピューターウイルスを製作してばら撒いた者に対して、著作権法違反容疑で逮捕した話とその解説。
コンピューターウイルスに対する法律が整備されていないので、「ウイルス製作者が深夜アニメの画像を無許可で使用していた」と著作権法違反容疑で検挙。
横着しないで、コンピューターウイルスに対する法律を早く整備しろよ、と最初ニュースを知った時思った。又は、もう少し妥当な法律で引っ張れなかったの?と。
このニュースを聞いて、法律を勉強してる人は日本の法制度の適当さに対して絶望したと思う。
さて
明治に花井卓蔵という弁護士がいた。まだ法の草創期。
電力を盗んだ者の弁護を引き受けた花井卓蔵は
「電気は物*1ではない。よって無罪」
と主張し、無罪を勝ち取ってしまった。一休さん並みの屁理屈だと思うが、「刑は法律により定められるべきで、法律に定められていない場合は原則無罪」という罪刑法定主義を当時は守った事になる。(なお当然ながら盗電は現在日本では犯罪です)。なんだろ、美味しんぼ的に例えると「豆腐づくりに慣れてないアメリカのほうが、しっかり豆腐を作ってる」的なかんじ。→参照文献 「明治の人物誌」星新一
原則は そんなに大事か?という意見も当然あるかと思う。"実効"とか"目前のリスク"を考慮すべきという意見。
"法の原則"と"リスク"が激しく対立した代表例は、やはり「大津事件」だろう。
ロシア皇太子が訪日中に殺されかけた事件。テロ実行者には「死刑が適当」という政治的動きに対し、厳格な司法を適用し「無期懲役」と判決。
山田風太郎が書いた小説*2「明治かげろう俥」によると、この暗殺未遂事件がもとで日露が戦争に突入する事は充分有り得たらしい。当時の司法担当者は「国が滅んでも原則は守らなければならない」旨の発言をしてるとの事。
"法の原則"と"リスク"の考量はケースバイケースと俺は思うが、今回の京都府警の逮捕は「他に方法ないの?」と首をかしげた。
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・「画像ちゃんねる」管理人に有罪判決 - ITmedia News
・判決が出ました。: さんぞう★ブログ
エロサイト管理人に執行猶予の有罪判決が出た話と本人のブログ。
ネットでの法整備が進んでいない段階で、当人は合法と信じていたが、逮捕され全てを失ってしまった様子。
一罰百戒の効果もわからないではないけど、リセットされるというか一回社会的に殺されてしまう当人にとっては たまらないだろうなあと想像。
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・中国人ブロガー、行政当局に集団暴行され死亡 ; TechCrunch Japanese
携帯電話でデモを録画しようとしたかどで政府当局に殴打され死亡した、との事。

*1:法律でいうところの"有体物"

*2:小説といえど、山田風太郎は文献をよく漁って調べているので、或る程度信頼できると判断しました。ちなみに今Wiki読んだら、『後藤象二郎などは「津田(テロ犯)を拉致し拳銃で射殺することが善後策になる」と語った』と書いてあった。すごい。